厚生労働省は6月1日、社会保障審議会 介護給付費分科会をオンライン会議で開催。新型コロナウイルス感染症への対応について、介護施設・事業所に対する各種支援や、慰労金などの詳細を報告しました。総額4000億円超の第2次補正予算による各種施策を確認しておきましょう。
5月27日に閣議決定した第2次補正予算で、介護施設・事業所で働く職員に対して慰労金を支給することが決まりました。
新型コロナウイルス感染症が発生した、または、濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務する職員には1人20万円、それ以外の施設・事業所に勤務する職員には1人5万円が支給されます。
委員から給付対象や給付方法について質問があると、厚生労働省は「職種によって限定されることはなく、利用者と接するすべての職員が対象。給付方法は所属する事業所経由になる」と説明しました。
委員からは、職員本人に全額が支給されるようにすることや、事業所の事務負担軽減のため、慰労金の申請を簡素化することを求める意見がありました。
●感染症対策に必要な物品等の費用を支援
マスクやガウンなど、感染症対策に必要な物品の購入、専門家等による感染症対策の研修実施、感染発生時などに柔軟に使える多機能型簡易居室の設置といった、感染症対策にかかる費用について支援します。
●感染防止等の取組支援
介護現場の感染症対応スキルの向上や、職員の精神的なサポートのために、事業者や従事者を支援します。事業内容は、介護事業所の感染防止対策のための相談・支援事業、感染対策マニュアル作成や専門家による研修など感染症対策スキルの向上事業、事業継続計画(BCP)作成支援事業、介護職員のためのサポートガイド作成や相談支援事業があります。
ケアマネジャーや介護サービス事業所による、サービス利用休止中の利用者への利用再開支援として、アセスメント、ニーズ調査などを支援します。
独立行政法人 福祉医療機構による優遇融資を強化。福祉事業については、無担保で6000万円(新型コロナウイルス感染者の発生による休業等で減収となった入所施設は1億円)の融資を、当初5年間までは無利子で受けられます。6000万円を超える金額や、6年目以降の利率は0.2%です。
4月に決定した第1次補正予算による、介護領域への支援も確認しておきましょう。
●多床室の個室化に必要な費用を補助
介護施設等の感染拡大防止のため、多床室から個室に改修する際に必要な費用を補助します。1定員あたり97.8万円が上限額です。
●介護職員の確保支援
新型コロナウイルス感染症の影響で介護職員等の出勤が困難になり、職員が不足する施設等に対して、応援職員の派遣や派遣調整を実施します。
●サービス継続支援
休業要請を受けた事業所や、感染者が発生した施設・事業所、濃厚接触者に対応した施設・事業所に対して、消毒・清掃費用や、事業継続のために必要な人員確保のための費用などを補助します。通所系サービス事業所が訪問サービスを実施する場合の人員確保のための費用なども対象です。
●介護支援専門員研修等のオンライン化
介護支援専門員研修と、ユニットケア研修について、在宅等で受講するための通信教材を作成します。
●ICT導入支援
事業所規模に応じた補助上限額が引き上げられました(職員1~10人の場合50万円の上限額が、100万円に引き上げ等)。補助対象については、介護ソフトや、スマートフォンなどの機器だけでなく、Wi-Fi購入・設置費(通信費は含まない)なども対象になります。
●介護ロボット導入支援
移乗支援、入浴支援などで利用する介護ロボットについて、1機器あたり上限30万円の補助額を、上限100万円に拡充。見守りセンサー導入のための通信環境整備については、1事業所あたり150万円の上限額が、750万円まで引き上げられました。補助上限台数も撤廃されています。
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年6月2日掲載のものです。
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