前回は、就業規則が必要な理由について以下を指摘しました。
1つ目の理由は、法律で定められているから。 2つ目の理由は、会社(職場)のルールを従業員に伝えるため。 3つ目の理由として、就業規則は、会社を成長・発展させるもの。
働き方改革が進められている昨今、また、その中でも多様性への対応を求められている今、2つ目の役割は大変重要です。
私は、社会保険労務士として介護事業者に助言する際、「会社として働き方の多様性を認めるのであれば、その分だけ基礎となるルールは明確に、そして分かりやすく伝えてください」と伝えています。
実際に、就業規則等で申し分のないルールを定めていたとしても、その内容が伝わりにくければ、受け止め方が変わってしまうのも事実です。
就業規則には必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、各事業所内のルールを定める場合には記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)がある事を前回お伝えしました。多様な働き方を受け入れ、円滑な事業運営を行うには、この相対的必要記載事項が重要です。
【相対的必要記載事項】 (1)退職手当関係 適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項 (2)臨時の賃金・最低賃金額関係 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額に関する事項 (3)費用負担関係 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項 (4)安全衛生関係 安全及び衛生に関する事項 (5)職業訓練関係 職業訓練に関する事項 (6)災害補償・業務外の傷病扶助関係 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項 (7)表彰・制裁関係 表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項 (8)その他 事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項
中小企業の人事労務では、「この取り扱いはどうだったかな?」とよく悩まれる項目です。
その都度異なる対応をしていては、後々のトラブルにつながります。
正社員とパートタイム労働者、有期雇用労働者等の非正規労働者との間の不合理な待遇差や差別的取扱いが禁止されている今、ルールを明確に定めておくことが重要です。
では、今回も就業規則に記載する内容について、具体的な項目を挙げながらポイントを見ていきたいと思います。
(時間外及び休日労働等)
株式会社オーバー代表取締役。拓社会保険労務士事務所代表。社会保険労務士、社会福祉士。 社会保険労務士事務所に入所。医療・福祉業界含め数多くの企業を担当。組織づくり、チーム運営、マーケティング、IT 活用、仕事と家庭の両立を軸とした人事労務コンサルティングで好評を得る。 平成28年会社設立。平成29年1月訪問看護ステーションシンプル、同年5月生活支援サービスチョイス、同年9月ライフパートナーワン・スタイル、居宅介護支援事業所ワン・スタイル、平成30年8月ライフサポートイメージ(訪問介護事業)を立ち上げる。