第199回社保審・介護給付費分科会で、2021年度介護報酬改定の単位数など、改定案の内容が明らかになりました。【介護医療院】の介護報酬改定について、単位数や算定要件の詳細を一覧でお知らせします。
要介護1:現行 808単位 ⇒ 改定後 825単位
要介護2:現行 916単位 ⇒ 改定後 934単位
要介護3:現行 1,151単位 ⇒ 改定後 1,171単位
要介護4:現行 1,250単位 ⇒ 改定後 1,271単位
要介護5:現行 1,340単位 ⇒ 改定後 1,362単位
要介護1:現行 762単位 ⇒ 改定後 779単位
要介護2:現行 857単位 ⇒ 改定後 875単位
要介護3:現行 1,062単位 ⇒ 改定後 1,082単位
要介護4:現行 1,150単位 ⇒ 改定後 1,170単位
要介護5:現行 1,228単位 ⇒ 改定後 1,249単位
要介護1:現行 825単位 ⇒ 改定後 842単位
要介護2:現行 933単位 ⇒ 改定後 951単位
要介護3:現行 1,168単位 ⇒ 改定後 1,188単位
要介護4:現行 1,267単位 ⇒ 改定後 1,288単位
要介護5:現行 1,357単位 ⇒ 改定後 1,379単位
要介護1:現行 824単位 ⇒ 改定後 841単位
要介護2:現行 924単位 ⇒ 改定後 942単位
要介護3:現行 1,142単位 ⇒ 改定後 1,162単位
要介護4:現行 1,234単位 ⇒ 改定後 1,255単位
要介護5:現行 1,318単位 ⇒ 改定後 1,340単位
新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、全てのサービスについて、2021年4月~9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せとなります。
介護に関わる職員の認知症対応力を向上させていく観点から、介護医療院では人員配置要件について、一部改正されます。
・算定要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(※1)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(※2)を加算の配置要件の対象に加える。
※1:認知症ケアに関する専門研修・認知症専門ケア加算(Ⅰ)…認知症介護実践リーダー研修・認知症専門ケア加算(Ⅱ)…認知症介護指導者養成研修
※2:専門性の高い看護師・認知症看護認定看護師・老人看護専門看護師・精神看護専門看護師・精神科認定看護師
看取り期の本人・家族との十分な話し合いや関係者との連携を一層充実させる観点から、基本報酬や看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取り組みを行うことが求められます。
長期療養・生活施設の機能の充実の観点から、長期入院患者の受入れ・サービス提供を評価する「長期療養生活移行加算」が新たに創設されます。
長期療養生活移行加算…60単位/日(新設)
・入所者が療養病床に1年間以上入院していた患者であること
・入所にあたり、入所者及び家族等に生活施設としての取り組みについて説明を行うこと
・入所者及び家族等と地域住民等との交流が可能となるよう、地域の行事や活動等に積極的に関与していること
・入所した日から90日間に限り算定可能
介護の質の向上に係る取組を一層推進する観点から、「薬剤管理指導」にデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する新たな区分が設けられます。
20単位/月(新設)※現行の350単位/回については変更なし。追加で20単位/月を算定できるようになる
・入所者の服薬情報等を厚生労働省に提出し、処方に当たって、当該情報その他薬物療法の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・上記要件を満たす場合、同月の最初の薬剤管理指導算定時に限り算定可能
自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、CHASE・VISITへリハビリテーションのデータを提出しフィードバックを受けてPDCAサイクルを推進する加算が新設されます。
理学療法、作業療法又は言語聴覚療法に係る加算…33単位/月(新設)
・医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が共同し、リハビリテーション実施計画を入所者又はその家族等に説明し、継続的にリハビリテーションの質を管理していること
・入所者ごとのリハビリテーション実施計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASE・VISITへのデータ提出とフィードバックの活用)
口腔衛生管理の強化のため、「口腔衛生管理体制加算」が廃止され、算定要件を一部緩和したうえで、基本サービスとして取り組みが求められます。また、「口腔衛生管理加算」に新たな評価区分が新設されます。
口腔衛生管理体制加算:30単位/月 ⇒ <改定後>廃止。基本サービスへ
口腔衛生管理加算:90単位/月 ⇒ <改正後>口腔衛生管理加算(Ⅰ)に名称変更
口腔衛生管理加算(Ⅱ):110単位/月(新設)
入所者の口腔の健康の保持を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行わなければならない(3年の経過措置期間を設ける)。
※「計画的に」とは、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対する口腔衛生に係る技術的助言及び指導を年2回以上実施することとする
・加算Ⅰの要件に加え、口腔衛生等の管理に係る計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、口腔衛生等の管理の実施に当たって、当該情報その他口腔衛生等の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔ケアを月2回以上行い、当該入所者に係る口腔ケアについて介護職員に対し、具体的な技術的助言及び指導を行った場合
栄養ケア・マネジメントの取り組みを一層強化する観点から、現行の栄養マネジメント加算が廃止され、基本サービスとして、状態に応じた栄養管理の計画的な実施が求められます。その際、現行の栄養士に加えて管理栄養士の配置が位置づけられます。
また、低栄養リスク改善加算が廃止され、入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や体制強化等を評価する「栄養マネジメント強化加算」が新たに創設されます。
栄養マネジメント加算:14単位/日⇒ <改定後>・廃止。基本サービスへ・栄養ケア・マネジメントの未実施:14単位/日減算(新設)・栄養マネジメント強化加算:11単位/日(新設)
低栄養リスク改善加算:300単位/月 ⇒ <改定後>廃止
経口維持加算:400単位/月 ⇒ <改定後>一部要件のみ変更
・入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うこと(3年間の経過措置を設ける)
・栄養士または「管理栄養士」を1以上配置する
・管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること
・低栄養状態のリスクが高い入所者に対して、医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上行い、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事の調整等を実施すること
・低栄養状態のリスクが低い入所者にも、食事の際に変化を把握し、問題がある場合は、早期に対応すること
・入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
原則6月とする算定期間の要件を廃止する
CHASE・VISITへのデータ提出とフィードバックの活用により、PDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みを推進する観点から、「科学的介護推進体制加算」が新設されます。
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)…40単位/月(新設)
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)…60単位/月(新設)
・入所者・利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること
・科学的介護推進体制加算(Ⅱ)では、加えて疾病の状況や服薬情報等の情報を厚生労働省に提出していること
・サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること
なお、2021年度より、CHASE・VISITを一体的に運用するにあたって、科学的介護の理解と浸透を図る観点から、以下の統一した名称が用いられる予定です。
科学的介護情報システム「LIFE(ライフ)」(Long-term care Information system For Evidence)
利用者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、「自立支援促進加算」が新設されます。
自立支援促進加算…300単位/月(新設)
①医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも6月に1回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること
②①の医学的評価の結果、特に自立支援のために対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること
③①の医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること
④①の医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
褥瘡対策指導管理について、状態改善等のアウトカム指標を評価するため区分が見直されます。
<現行>褥瘡対策指導管理:6単位/日⇒<改定後>褥瘡対策指導管理(Ⅰ) 6単位/日※現行と同じ褥瘡対策指導管理(Ⅱ) 10単位/月(新設)
・褥瘡対策指導管理(Ⅰ)の基準を満たす介護医療院において、施設入所時の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について、褥瘡の発生のないこと
・加算ⅠとⅡの併算定は可能
排せつ支援加算について、状態改善等のアウトカム指標を評価するため区分が見直されます。
<現行>排せつ支援加算:100単位/月⇒<改定後>排せつ支援加算(Ⅰ):10単位/月(新設)排せつ支援加算(Ⅱ):15単位/月(新設)排せつ支援加算(Ⅲ):20単位/月(新設)
①排せつに介護を要する入所者等ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師又は医師と連携した看護師が施設入所時等に評価するとともに、少なくとも6月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、排せつ支援に当たって当該情報等を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
②①の評価の結果、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師、看護師、介護支援専門員等が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、当該支援計画に基づく支援を継続して実施していること
③①の評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに支援計画を見直していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、または、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
・加算Ⅰ~Ⅲの併算定は不可。現行の加算を算定する事業所に経過措置を設定
・6月を限度としていた点が見直され、6月を超えて算定が可能となる
サービスの質の向上や職員のキャリアアップを推進する観点から、新たな評価区分の新設と区分の統合が行われます。
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)…22単位/日(新設)
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)…18単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)…6単位/回
・加算Ⅰは、介護福祉士が80%以上、または、勤続10年以上の介護福祉士が35%以上のいずれかに該当すること
・加算Ⅱは、介護福祉士が60%以上であること
・加算Ⅲは、介護福祉士が50%以上、または、常勤職員が75%以上、または、勤続7年以上の職員が30%以上、のいずれかに該当すること
処遇改善加算や特定処遇改善加算の職場環境等要件について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取り組みがより促進されることが求められます。
・職員の新規採用や定着促進に資する取り組み・職員のキャリアアップに資する取り組み・両立支援・多様な働き方の推進に資する取り組み・腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取り組み・生産性の向上につながる取り組み・仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取り組み
職場環境等要件に基づく取り組みの実施について、当該年度における取り組みの実施が求められます。
小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、平均の賃金改善額の配分ルールについて、以下の見直しが行われます。
・「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」
⇒「より高くすること」に見直し
つまり、「2倍以上」という制限がなくなり、より柔軟な配分が可能となります。
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて廃止されます。その際に、2021年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業所については、1年の経過措置期間が設けられます。
算定期限が2021年3月31日までとされている「移行定着支援加算(93単位/日)」について、介護医療院の開設状況を踏まえて、廃止となります。
事故発生の防止と発生時の適切な対応(リスクマネジメント)を推進する観点から、事故報告様式の作成・周知、安全対策担当者の設置等が運営基準として義務付けられます。これに伴い、組織的な安全対策体制の整備を評価する以下2点の見直しが行われます。
安全管理体制未実施減算…5単位減算/日(新設)
安全管理体制加算…20単位(新設)
・運営基準における事故の発生又は再発を防止するための措置が講じられていない場合
・6月の経過措置期間を設ける
・外部の研修を受けた担当者が配置され、施設内に安全対策部門を設置し、組織的に安全対策を実施する体制が整備されていること。
・入所時に1回限り算定可能
食費の基準費用額について、2020年度介護事業経営実態調査結果から算出した額との差の状況を踏まえた見直しが実施されます。
基準費用額(食費)…<現行>1,392円/日 ⇒<改定後>1,445円/日(+53円)
・2021年8月施行
・利用者負担段階については、2021年8月から見直し予定
引用:第199回社保審・介護給付費分科会「資料1令和3年度介護報酬改定の主な事項」、「参考資料1令和3年度介護報酬改定における改定事項について」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。