借金がある生活困窮者は介護施設に入れるか?―ケアマネジャーからの法律相談

2024.08.16
2024.08.22
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ホームニュース専門家コラム借金がある生活困窮…

今回は、ケアマネジャーからよく寄せられる相談事例についてとりあげます。

経済的に困窮している利用者が、在宅生活を継続するのが困難な状況に陥った場合の施設への入所支援について、弁護士の立場から解説します。

目次
    亡くなった夫の借金があり施設入所を諦めている利用者
      借金がある利用者の施設入所の支援4つのステップ

      亡くなった夫の借金があり施設入所を諦めている利用者

      【あるケアマネジャーからの相談】

      担当している利用者に、要介護4でほぼ寝たきり状態の方がおられます。意思疎通は可能です。

      先立たれたご主人が生前、個人商店を営んでおり、亡くなった時に、ご主人に約2,000万円もの借金があることが分かりました。それ以降、この利用者は律儀に返済しておられたようです。ただ、そのせいで日々の生活を切り詰め、体を壊してしまい、働けなくなりました。

      本来は、在宅での生活は限界ですので、介護施設への入所が必要ですが、この利用者は、多額の借金があること、収入がないことを理由に、施設入所を諦めています。

      このままの状態が続くと利用者の生命が危機にさらされるのは目に見えています。

      このような、借金がある生活困窮者の利用者に、施設に入って頂く方法は無いのでしょうか。

      今回のようなケースでは、

      1. 利用者の借金を帳消しにする「自己破産手続き」を行う
      2. 必要最低限の生活ができるようになるため生活保護の申請手続きを行う
      3. 法テラスを活用して①②の手続きを弁護士に委ねる
      4. ケアマネとしては施設入所に向けた動きを①②と同時並行で行う

      という4つの方法を取ることをお勧めします。

      順に解説します。

      借金がある利用者の施設入所の支援4つのステップ

      利用者の借金を帳消しにする「自己破産手続き」とは

      「破産したら人生終わりだ」などと思う人もいるようですが、自己破産手続きは決して人生を破滅させるような怖いものではありません。法定の要件を満たせば借金が帳消しになり、生活の再建を図ることができる裁判所を通じた手続きです。

      残り1535文字
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