【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)】運営基準の変更点まとめ 2021年度介護報酬改定・厚労省

2021.02.09
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2021年度介護報酬改定に向けた「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令」について、本記事では【介護老人福祉施設・ユニット型指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)】に関する省令※の改正内容を整理していきます。
※省令…指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準。以下「運営基準」とします。記事本文では該当する条項の内容を要約しています。

情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進

【基本方針・指定介護老人福祉施設基準第一条の二 5(新設)】

指定居宅サービス事業者については、省令上にて「介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に行うよう努めなければならない」という規程が新設されました。具体的には、以下の点が運営基準として求められます。

●LIFEを活用した計画の作成や事業所単位でのPDCA サイクルの推進、ケアの質の向上に努めること

介護保険施設の人員配置基準の見直し

【従業者の員数・指定介護老人福祉施設基準第二条(追加・削除)】

現行の人員配置基準では、ユニットをまたいだ介護・看護職員の兼務は認められていません。この基準が見直され、次期改定では従来型とユニット型を併設する場合において、入所者の処遇に支障がない場合に介護・ 看護職員の兼務が可能となります。

会議や他職種連携におけるICTの活用

【指定介護福祉施設サービスの取扱方針・指定介護老人福祉施設基準第十一条6、十二条6(追加)】

運営基準において実施が求められる各種会議等について、感染防止や多職種連携の促進の観点から、テレビ電話などICTの活用が認められます。医療・介護の関係者のみで実施する場合と、利用者またはその家族が参加して実施するもので、テレビ電話等の活用についての同意を得た場合に可能となります。具体的には下記の会議が該当します。

・身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会

・サービス担当者会議

・感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会

・事故発生の防止のための委員会

・身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会

栄養ケア・マネジメントの充実

【栄養管理・指定介護老人福祉施設基準第十七条の二(新設)】

入所者の栄養状態の維持・改善を図り、自立支援や重度化防止を推進する観点から、栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行うこととし、現行の栄養士に加えて、管理栄養士の配置(栄養士又は管理栄養士の配置)が位置づけられます。また、入所者ごとの栄養管理を計画的に行うことが求められます。

上記の運営基準の改正に際し、省令施行日から2024年3月31日まで、3年間の経過措置期間を設けるとしています。

口腔衛生管理の強化

【口腔衛生の管理・指定介護老人福祉施設基準第十七条の三(新設)】

入所者の口腔の健康の保持を図り、自立支援や重度化防止を推進する観点から、口腔衛生の管理体制を整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行うことが求められます。

上記の運営基準の改正に際し、省令施行日から2024年3月31日まで、3年間の経過措置期間を設けるとしています。

無資格者の認知症介護基礎研修の受講を義務化

【勤務体制の確保等・指定介護老人福祉施設基準第二十四条3(追加)・第四十七条4(追加)】

認知症患者が今後さらに増加することを踏まえ、認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳を守っていくことが求められます。

こうした観点から、介護サービス事業者に対して、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者(無資格者)について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務化されます。

上記の運営基準の改正に際し、省令施行日から2024年3月31日まで、3年間の経過措置期間を設けるとしています。

ハラスメント対策の強化

【勤務体制の確保等・指定介護老人福祉施設基準第二十四条4(新規)】

介護現場で問題となっている様々なハラスメントへの対策強化が、運営基準に盛り込まれました。介護老人福祉施設を含めたすべてのサービスを対象に、ハラスメントによって職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化など、必要な措置を講じることが義務付けられます(経過措置なし)。

業務継続に向けた取り組みの強化

【業務継続計画の策定等・指定介護老人福祉施設基準第二十四条の二(新設)】

感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築することが、次期改定の柱の1つです。これを踏まえ、業務継続に向けた以下の3点が運営基準で義務化されます。

●業務継続に向けた計画(業務継続計画・BCP)を策定し、感染症や非常災害発生時には計画に従って必要な措置を講じること

●業務継続計画を職員に周知するとともに、必要な研修や訓練を定期的に実施すること

●定期的に業務継続計画の見直しを実施し、必要に応じて計画内容の変更を行うこと

上記の運営基準の改正に際し、省令施行日から2024年3月31日まで、3年間の経過措置期間を設けるとしています。

感染症対策・地域と連携した災害対応の強化

【衛生管理等・指定介護老人福祉施設基準第二十七条2(追加)】

介護サービス事業者の感染症対策を強化する観点から、委員会の開催や職員への研修に加えて、感染症の予防・まん延の防止のための訓練を定期的に実施することが義務化されます。経過措置期間は省令施行日から2024年3月31日までの3年間です。

また、災害への対応においては地域との連携が不可欠という観点から、非常災害対策(計画策定、関係機関との連携体制の確保、避難等訓練の実施等)が求められる各介護サービス事業者を対象に運営基準が改正されます。当該訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない、という点が新たに追加されました(非常災害対策・指定介護老人福祉施設基準第二十六条2)。経過措置はありません。

運営規程等の掲示に係る見直し

【掲示・指定介護老人福祉施設基準第二十九条2(新設)】

現行では、各サービスにおける運営規程等の重要事項は、事業所内の見やすい場所への掲示が義務付けられています。この点について、介護サービス事業者の業務負担軽減や利用者の利便性の向上を図る観点から、閲覧可能なファイル等で据え置くなどの対応が可能となります。

具体的には、重要事項に関する書面を事業所に備え付け、かつ、関係者がいつでも自由に閲覧できる状態とすることで、掲示の代わりとするとしています。

介護保険施設におけるリスクマネジメントの強化

【事故発生の防止及び発生時の対応・指定介護老人福祉施設基準第三十五条四(新設)】

事故発生の防止のための安全対策について、現行の再発防止に向けた指針の整備や職員等への研修の実施、事故発生の防止のための委員会の開催に加えて、これらの措置を適切に実施するための担当者を置くことが義務付けられます。

その際、省令の施行日から起算して6月の経過措置期間を設けるとしています。

高齢者虐待防止の推進

【虐待の防止・指定介護老人福祉施設基準第三十五条の二(新設)】

介護福祉現場で問題となっている高齢者への虐待に関して、利用者の人権の擁護や虐待の防止等の観点から、以下の4点が義務付けられます。

●虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図ること。(委員会はテレビ電話など情報通信機器を活用して行うことができる)

●事業所における虐待防止のための指針を整備すること

●職員等に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること

●上記の虐待防止に関する措置を適切に実施するための担当者を置くこと

虐待防止に関する運営基準の改正に際し、省令施行日から2024年3月31日まで、3年間の経過措置期間が設けられます。

個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し

【設備・指定介護老人福祉施設基準第四十条(追加・削除)】

個室ユニット型施設について、ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指し、ユニットケアを推進する観点から、以下の運営基準へ改定されます。

●1ユニットの定員を、夜間及び深夜も含めた介護・看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置することを求めつつ、現行の「おおむね10人以下」から「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないもの」とする

記録の保存等に係る見直し

【電磁的記録等・指定介護老人福祉施設基準第五十条(新設)】

介護サービス事業者の業務負担軽減やいわゆるローカルルールの解消を図る観点から、諸記録の保存・交付等について、原則として電磁的な対応が認められ、必ずしも紙媒体で保存する必要がなくなります。

15.利用者への説明・同意等に係る見直し

【電磁的記録等・指定介護老人福祉施設基準第五十条2(新設)】

利用者の利便性向上や介護サービス事業者の業務負担を軽減する観点から、利用者やその家族に対する説明・同意等※のうち、書面で行うものについて、相手の承諾を得たうえで、電磁的な対応が認められます。

具体的には、ケアプランや重要事項説明書などの説明、同意を得る際に、必ずしも紙の書類を用意する必要はなく、タブレットやPCなどを使ってデータで提示する運用も可能となります。

※説明・同意等…交付、説明、同意、承諾、締結その他これらに類するもの

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