第192回社保審・介護給付費分科会が11月9日に開かれ、サービス提供体制強化加算について議論が行われました。厚生労働省から、介護福祉士の割合が高い事業所や介護職員の勤続年数が長い事業所を評価する方針などが示され、議論が進みました。
厚労省から2つの調査結果が示されました。一つは、2006年度と2018年度を比較すると、介護福祉士の割合が全てのサービスにおいて約2~3割上昇していることです。
もう一つは、介護職員等の勤続年数が伸びていることです。サービス全体で見ると、2007年度には3.1年だったものが、2018年度には6.7年になっています。サービス別に平均勤続年数を見ると、訪問系で6.9年(2007年度比+3.7年)、入所施設系で7.5年(2007年度比+4.4年)となり、いずれも伸びています。
厚労省はこれらの結果を踏まえて、介護福祉士の割合が高い事業所や、職員の勤続年数が長い事業所をより高く評価するという見直しを提案しました。
算定の要件としては、サービスの質の向上につながる取組の実施として、例えばICTやロボットの活用、介護助手等の元気高齢者の活躍、CHASE等への参加、多床室でのポータブルトイレの不使用などを提示しています。
評価の見直しについて複数の委員から賛成意見があがりましたが、全国老人福祉施設協議会の小泉立志氏は、要件の追加による評価は複雑になるとして反対意見を示しています。要件の案としてあがった、多床室でのポータブルトイレ不使用については、「短絡的な判断となり、おむつ使用が推奨されることが懸念される」と意見を述べています。
サービス提供体制強化加算の人材要件として、「3年以上の勤続年数のある者が30%以上配置されていること」などの要件があるサービス種別がほとんどですが、訪問入浴介護と夜間対応型訪問介護の人材要件には、勤続年数の要件がありません。
そこで、訪問入浴介護や夜間対応型訪問介護にも勤続年数の要件を新たに設けることが提案されました。委員からの反対意見はありませんでした。
算定率が高い介護職員処遇改善加算で求められる項目と同じ趣旨の要件については、廃止する方針が示されました。具体的には、研修実施、会議開催、健康診断の要件があげられています。
引用:第192回社会保障審議会介護給付費分科会「介護人材の確保・介護現場の革新(検討の方向性)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年11月12日掲載のものです。
ライター歴8年、介護業界取材歴5年。介護業界の経営者や現場責任者、介護関連施設への取材を重ねてきました。介護業界を支える皆さまの役に立つ情報発信を心がけています。