福岡で訪問介護、居宅、通所など展開するグリーンケア柴口氏の経営哲学

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【今回インタビューした経営者プロフィール】

柴口 里則 しばぐち・さとのり

株式会社グリーンケア 専務取締役

福岡県介護支援専門員協会会長

日本介護支援専門員協会会長

コロナの影響で通所の利用率が激減して苦しい状況だった

現在の事業内容を教えてください

グリーンケアでは、介護事業として居宅が2事業所、訪問介護2事業所、通所が3事業所、有料老人ホームが1事業所と保育事業として企業内保育の3か所を展開しています。

また、グリーンピースという別会社では不動産や通所介護で使えるレクリエーション、実務研修養成講座のe-learningなどを展開しています。

これまで介護事業の経営・運営において抱えていた課題は何ですか?

2つの課題がありました。

1つめは、コロナの影響で特に通所の経営が厳しい状況にあったことです。コロナ後には利用率が5割に下がった時もありました。他の事業所も同じような状況だったと思いますが、当時はだいぶ利用控えがありました。

2つめは、人材不足の課題です。募集をだしていても人がこないし、人材紹介も高いので、自分たちで何かやれないかということは以前より課題として残り続けていました。

感染対策を徹底して利用率は回復、人材不足には実務研修などで対応

課題ついてはどのような取り組みをされていますか?

1つ目の利用控えの課題に対する取り組みは、安心してこられる仕組みづくりをしています。具体的には、コロナ対策をしっかりやり、それを対外的にもうちだし、結果的に感染もほぼなかったことがあげられます。それ以外にも会ってくれない状況があったので、アプローチ方法を変えて文章や電話で連絡をとるようにしました。それらのかいもあってか、徐々に利用者が増えていきました。

2つ目の人材不足の課題に対する取り組みは、実務研修や保育をはじめたことです。

実務研修をはじめたのも、もともとは人材不足を解消するための施策の一つでした。そういう意味では、保育事業をはじめたのも、人材不足を解消するための取り組みがきっかけです。

その時に偶然企業内保育という制度がでてきて、ちょうど良いタイミングだったので職員向けに企業内保育を作りました。企業内保育ができたことで、職員の退職がなくなり、産休に入っても復職するようになりました。人が残るだけでなく、採用もしやすくなりました。

この取り組みによって、採用できる人材の年齢層も若くなりました。

共生社会になるので、高齢者や子供含めた包括的なサービスを展開していく

経営におけるこだわり、大事にしていることは何ですか?

やっぱり人ですよね。どうやってストレスがない職場をつくるかが大事だと思います。

私たちは、そこに気を配ってこれまで運営してきたので派閥がありません。

そのためにやっていることは、例えば誕生日には花束が個人にいくようにしていたり、今でこそコロナで厳しいですが職員旅行をやっていたり、忘年会や新年会をやっていたりします。直近20周年だったのですが、20年目については職員と家族のみ招待して感謝を伝えました。また、年末にはケーキが届くようなこともやっています。そのような形で節目には感謝の気持ちを形で伝えるようにしています。

コロナ後の世界と生き残るために重要だと思うことは何ですか?

コロナ前後でもあまり変わらず重要だと思うことは、職員は幸せにならないといけないということです。それを追求していかないと長く続かないと思います。そのために、自分が信頼できるチームとしてみんなでできるようにしていくことは、引き続き注力していきたいですね。

もう一つ、コロナで変わったポジティブな影響として、ICT活用については避けて通れない流れだと思います。ICTについては弊社でも職員の勤怠管理もICTを導入しようと考えています。できるところからICTを活用していかないと厳しくなっていくと思いますね。

今後の方向性はどのように考えていますか?

共生社会になっていくので、高齢者だけでなく子供など一体的に捉えたサービスが必要になります。 したがって、私たちもそういった包括的なアプローチを仕掛けていく予定です。

大きな棲み分けとして、グリーンケアでは介護、グリーンピースで不動産、住まいに関する課題を解決していきます。

これからも高齢者のニーズに沿った部分をリサーチしながらやっていき、総合力をあげていきたいのですが、同時にサービスとして選んでもらえるようにつくりこんでいきたいですね。そういったサービスの質改善は、トライして早めに軌道修正していくのが重要なので、スピード感早く実行していきたいと考えています。

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