2024年度介護報酬改定では虐待防止の更なる推進や感染症や災害への対応力向上を目的として、全てのサービス事業所に対応が求められる項目があります。1月25日に公布された人員・設備・運営基準を定める改正省令や1月22日に社会保障審議会が承認した介護報酬の改定項目を基に、こうした改定事項をまとめています。
特に、「業務継続計画未実施減算」では、訪問系サービス、福祉用具貸与、 居宅介護支援に設定されている適用除外期間が検討段階で示されていた素案の内容から1年短くなっているので注意が必要です。
※【2月27日追記】高齢者虐待防止措置未実施減算の減算単位数に誤りがあっため、修正しました。
2024年度介護報酬改定の全サービスに関わる改定事項のうち、対応を怠れば運営基準違反や基本報酬の減算になるのは以下の3つの項目です。
以下、それぞれご紹介します。
2024年度介護報酬改定では、(介護予防)居宅療養管理指導と、特定(介護予防)福祉用具販売を除く全てのサービスに「業務継続計画未実施減算」が導入されます。
業務継続計画未実施減算が適用されるのは以下の場合です。
※ 2025(令和7)年3月31日までの間、「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」の整備及び「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合は減算適用になりません。 ※訪問系サービス、福祉用具貸与、 居宅介護支援は、2025年3月31日までの間、減算が適用されません。
なお、検討段階(11月時点で厚生労働省が示した原案)では、”訪問系サービスと居宅介護支援事業所は26年度末まで減算の対象外”などとされていましたが、この期間が1年間短縮されています。
虐待の発生や再発防止措置(委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の選定)が講じられていない場合、基本報酬が減算されるようになります。
※福祉用具貸与には3年間の経過措置期間あり。
高齢者虐待防止措置未実施減算の適用要件は以下の通りです。
①虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること。 ② 虐待の防止のための指針を整備すること。 ③従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。 ④上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
事業所の運営規程の概要等の重要事項を記載した書面についてはこれまで、事業所内の見やすい場所に掲示(紙ファイル等の備え付けの書面や保存したデータを見れる状態にしておくことで代替可能)することが義務となっています。この「書面掲示」について、現在の対応に加えてインターネット上で情報の閲覧が完結できるよう、原則としてウェブサイト(法人のホームページ等また情報公表システム)にも掲載することが運営基準省令上で義務付けられます。※1年間の経過措置あり。
このほかに全サービスに関わる改正事項としては、運営基準における管理者の業務範囲についての記載が見直されます。
これは、管理者が兼務できる事業所の範囲を「同一敷地内」に限定せず、他の事業所や施設等に従事しても差し支えないことが運営基準上明確化されるというものです。
現場で働く方に関わるルールの緩和や明確化についてはほかにも、
などが今後の通知改正によって示される予定です。
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