2024年度介護報酬改定に向けた検討の中で、業務継続計画(BCP)が未策定の場合に基本報酬を減算する案が厚生労働省から示されました。
なお、減算の適用を受けることになった場合でも、4月以降に計画を未策定の事業所は運営基準違反として指導監督の対象となることになるため、留意が必要です。
11月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会で検討された案は、
感染症と自然災害のいずれか、または両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する
というものです。
検討会で明確な反対意見はなく、今改定での対応事項となる見通しです。
減算が適用されるタイミングは2段階あり、
※「感染症の予防及びまん延防止のための指針」の整備と「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合は26年度末まで減算適用を免除。
となる方針です。
なお、居宅療養管理指導については、運営基準上でBCP策定が義務付けられるまでの経過措置期間を26年度末まで延長することも示されています。
(【画像】第232回社会保障審議会介護給付費分科会〔資料3〕「業務継続に向けた取り組みの強化等」より(以下同様))
厚労省の担当者は、24年度改定でこの減算を導入した場合でも、運営基準上の違反があれば「指導監督の対象となる」と明言しています。たとえ減算の経過措置期間であっても現行案では4月以降は居宅療養管理指導以外の全てのサービスで運営基準違反という形で指導の対象となるため留意が必要です。
なお、23年度の調査によると(令和5年度改定検証調査・速報値)業務継続計画を「策定完了している」または「策定中」と回答した事業所の割合は感染症で83.9%、「未策定(未着手)」が15.6%、自然災害では「策定完了」または「策定中」が81.7%、「未策定(未着手)」が17.1%です。
厚労省は今回の分科会で、介護施設や事業者が実施する防災訓練において地域住民の参加を促すための施策を2027年度の検討事項とすることも提案しています。
現状では訪問系サービスを除くサービスに、訓練に当たり地域住民と連携することが努力義務とされています。
実際に参加している事業所の割合は先述の検証調査によると8.7%で、地域住民の参加を求めておらず、参加がない事業所の割合は48.7%です。
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