政府の経済財政諮問会議は9日、経済財政運営と改革の基本方針 2021(骨太方針2021)の原案をまとめました。これに先だって、財務相の諮問会議は社会保障費を抑制する観点から区分支給限度額の在り方の見直しや、福祉用具の貸与のみをケアプランに位置付ける居宅介護支援の基本報酬の引き下げなどを主張していました。次期24年度の介護保険制度改正・報酬改定に向けた検討の方向性が、早くも打ち出され始めています。財務省側(経済界のメンバーなど)の主張や、それを受けて示された政府方針など、直近の動向を抑えておきましょう。
財務相の諮問会議(財政制度等審議会・財政制度等分科会)は5月にまとめた提言(財政健全化に向けた建議)で、社会保障費を抑制する観点から介護に関する施策として以下の内容を求めています。
・利用者負担の見直し(原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ることを検討する)・介護人材確保の取組とICT化等による生産性向上・ケアマネジメントの在り方の見直し・多床室の室料負担の見直し(介護老人保健施設・介護医療院・介護療養病床の多床室室料相当額について基本サービス費等から除外するよう見直す)・地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の事業費上限超過の抑制・区分支給限度額の在り方の見直し・居宅サービスについての保険者等の関与の在り方 ・軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化・介護サービス事業者の経営状況の把握 (事業報告書等の報告・公表の義務化)
生産性向上に関しては、22 年6月までに施行される「社会福祉連携推進法人制度」の積極的な活用を促すなど、経営主体の統合・再編等による介護事業所・施設の運営効率化を促す施策を講じていくことも求めています。
また、ケアマネジメントの見直しについては24年度介護報酬改定での利用者負担導入だけでなく、福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引下げを行うことなどを盛り込むよう提言していました。
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