中小法人でもできる!訪問介護事業所の集客術~事前準備の解説

2023.03.14
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はじめまして、合同会社Mind share 代表の前原扶幸と申します。

私は大学卒業後、新卒で介護付き有料老人ホームを事業展開している会社に入社し、施設で介護職として働く経験をしました。その後、訪問看護会社の営業職、訪問マッサージ会社の営業職を経験した後、訪問介護員を兼務しながらフリーランスの立場で訪問看護・訪問介護の集客支援を始めました。これまで培ったマーケティングや集客ノウハウを還元して、赤字経営で苦しんでいる事業者様を一つでも多く助けたいという想いから2022年9月に合同会社Mind shareを設立しました。これから、2回にわたって訪問介護事業の集客ノウハウについてご紹介します。

競争の激しい訪問介護市場だからこそ集客に向き合う

国内の訪問介護の介護事業所数は近年微増傾向が続いており、直近の統計では3万4,372事業所でした(令和3年度介護給付費等実態統計報告)。在宅介護のインフラが整備されるという視点では訪問介護事業所が増えることはいいことなのですが、ご利用者様の獲得の競争はどんどん激しくなるでしょう。

また、訪問介護は介護事業の中でも人材不足が深刻なサービスです。厚生労働省は、19年時点の訪問介護員の有効求人倍率が15.03倍に上っていたことを明らかにしています。私も日々、クライアント様の集客支援に当たっているなかで各地域の厳しい状況に触れています。

今回のコラムではレッドオーシャン化(競争が激化している状態)した在宅介護市場でどのようなマーケティング戦略、集客戦術に取り組むべきなのかをシンプルにご紹介していきます。

まず、何故、集客対策に手をつけなければならないのかを考えてみましょう。利用者の獲得競争が激化しているというだけ理由ではありません。訪問介護事業は訪問件数を増やしていくことでしか売上を伸ばせません。これを怠ってしまうとすぐに赤字経営になってしまうという現実があります。

例えば、あなたの経営されている訪問介護事業所には、ご利用者が50人いるとします。しかし、半年後もしくは1年後のご利用者の数は変わっている可能性が高いです。恐らく50人のご利用者が45人とか40人にまで減っているでしょう。

理由としては例えば、

・ご利用者の入院によるサービスの休止・終了
・ご利用者のご逝去に伴うサービスの終了
・ご利用者の施設に入所に伴うサービス終了
・他サービスのご利用が始まることに伴う訪問介護の利用回数減少

といったことが考えられます。

つまり、どんなに良い介護サービスを提供していたとしても、ご利用者様が減ってしまうということを前提として事業継続を考えなくてはいけません。経営用語で顧客償却という考えです。

こうしたことを踏まえると、人員の増員を考えている事業者所では増員した人数分のご利用者を獲得しなければなりませんし、何もしなくてもご利用者は減っていくことを前提とするなら集客は常に必要なものという考えに至るかと思います。

SWOT分析で事業所の強みやセールスポイントを把握するときのポイント

集客に取り組むには、自社の事業所の強み・セールスポイントを認識しなければなりません。事業所の強み・セールスポイントの見つけ方はマーケティングでよく使われるSWOT分析というフレームワークを使うといいでしょう。SWOT分析とは経営学者のヘンリー・ミンツバーグが提唱した経営戦略の代表的なフレームワークです。

SWOT分析は自社の内部環境(自社でコントロール可能なもの)と外部環境(自社がコントロールできないもの)を“Strength:強み”(プラス要因)、“Weakness:弱み”(マイナス要因)、“Opportunity:機会”(プラス要因)、“Threat:脅威”(マイナス要因)の4つで分析できるフレームワークです。

訪問介護事業所のSWOT分析事例を下に図解します。

図のように分析していくと自社の強みと弱みが見えてきます。

次のアクションとしては、こうすることによって見えてきた事業所の強み・セールスポイントを地域で打ち出していけばいいのです。ただ、このSWOT分析をする際、注意して欲しいのは、経営陣だけで分析するのだけではなく、従業員にもSWOT分析してもらい、その結果と合わせて事業所の強みと弱みを総合的に判断するということです。それによって、経営陣とは違った見え方で事業所の強みや弱みが見えてきます。

こうして、捉えることができた強み・セールスポイントをチラシやリーフレット、パンフレットに掲載、営業トークにも活用していきましょう。

後編では零細・小規模事業所が行き詰まる理由とよくある悩みと具体的な改善策を解説します。

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