介護に関する諸情報を利用者、ケアマネジャー、介護事業者、市町村や医療機関で共有する「介護情報基盤」の構築を目指して社会保障審議会・介護保険部会で始まりました。2024年内に同部会として意見をまとめるほか、2026年4月には要介護認定情報や請求・給付に関する情報などの共有・連携といったシステム運用を全国で実現することを目指すなど具体的なスケジュールが共有されています。
(*2024年10月8日追記:10月に開催された次の検討時には、介護情報基盤の展開に向けたスケジュールについて厚労省の担当課長が「現時点で見通しを立てるのは難しい」との認識を示しています。:レポート記事はこちら)
現在、厚生労働省は、医療や介護サービスの利用者に関する情報を電子データとして共有・交換できるプラットフォームを構築するべく検討を進めています。目的は、全国の自治体や事業者がそのデータを活用してサービスや事業の質を向上させたり、業務効率化を進めたりすることです。
このプラットフォームのうち、介護に関する情報(要介護認定情報、LIFE情報、利用者の入退院の情報、ケアプランの内容など。下図参照)を閲覧できる情報基盤(以降「介護情報基盤」)について2026年4月から全国展開することが、すでに国の目標として設定されています。
【画像】社保審・介護保険部会の資料(2024年7月8日開催)より
社保審・介護保険部会は7月8日、この介護情報基盤による情報共有の実現に向けて以下の3点について話し合いました。
このうち、厚労省はマイナンバーカードをつかった被保険者証のペーパーレス化をめぐる具体的な「検討課題」として、
などを挙げました。
同時に、マイナンバーカード保有をしていない人への対応として、「(被保険証とは別の)被保険者資格情報が記載された書面を交付する」ことも提案しています。
ここで示された「検討課題」に対して委員からは、認知症であったりスマートフォンが使えなかったりする高齢者への配慮や対応が重要だという指摘が相次ぎました。
介護保険被保険者証のペーパーレス化を進めるうえでの懸念点としてはほかにも、「(先行稼働している)ケアプランデータ連携システムでも、サービス事業所によるデータ登録が進んでおらず連携が進んでいない」「計画だけではなく、現場の意見をしっかりと受けとめながら推進しないと意味がない」「行政支援を」といった意見がでています。
ただ、この日の議論は、上述のように意見が集中したポイントもありましたが、部会全体で何らかのコンセンサスが得られたわけではなく、委員が各自の意見を表明するに留まっています。
今後の部会としては、厚労省が示した論点について今後も議論を深め年内の意見をとりまとめることを目指しています。
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