社会保障審議会・介護給付費分科会では、2024年度の介護報酬改定に向けて、「介護人材の確保と介護現場の生産性の向上」が議題にあがりました。
介護テクノロジーや介護助手等の活用と併せてテーマとなったのが、経営の協働化・効率化についてです。
厚生労働省によって21年度改定以降の調査研究事業の成果などが共有されましたが、現時点では具体策や検討の方向性は見えてきません。
社保審・介護給付費分科会では、8月末からサービス横断的な事項についての検討を進めています。9月8日の会合では、以下がテーマとなっています。
1.介護人材の処遇改善等 2.人員配置基準等 3.介護現場の生産性向上の推進/経営の協働化・大規模化 4.外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱いについて
こちらのページでは、3のうち、【経営の協働化・大規模化】を巡る検討についてまとめます。
*生産性向上(テクノロジーや介護助手の活用)に関する検討状況ついてはこちら
人材不足への対応や生産性の向上、安定的なサービス提供を可能とするために、近年は介護の経営の協働化・大規模化を政策として促すべきという指摘が各方面から目立つようになっています。
24年度介護報酬改定における、具体的な施策を検討するため、厚生労働省は、以下の論点を示しました。
地域の実情等を踏まえた経営の協働化・大規模化の推進について、どのような方策が考えられるか。
検討材料としては協働化・大規模化事例に関する実態把握調査の結果や、制作した事例集の内容を共有しています。
以下にその一部を抜粋します。
こちらは、小規模法人のネットワーク化を実施した団体などに対するアンケート調査の結果です(n=13 )。人材確保や災害対応などについて法人間で協力している団体の回答をまとめたものです。
<協働化(法人間連携)を実施したきっかけ>
こちらは、大規模法人を対象としたアンケート調査の結果です(n=41 )。複数法人の間の協力のほか、合併や事業譲渡、多角化などを実施した法人の回答をまとめています。
<事業展開・法人間連携(大規模化)を実施した目的>
好事例としては、教育体系の見直しによる離職率低下、法人全体での有資格者の確保、経営の安定化、利用者のニーズへの対応強化、一括仕入れによるコスト減等の成果が得られたものが紹介されています。
当日はこの件について全国知事会から大石賢吾長崎県知事の代理として出席した参考人(長崎県福祉保健部長)が社会福祉連携推進法人制度(22年度から制度化)について「人材の確保育成など、規模の大きさを生かした法人運営を可能とするものであり、離島などでにとっても有用」としたうえで、離島や中山間地域を含む経営の協働化・大規模化にあたっては、「経営的・人材的な余力がある大規模法人が推進役として主導する方法もあるのでは」と提言しました。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。