認知症専門ケア加算とは?
認知症専門ケア加算とは、認知症の利用者への対応力を評価する加算です。
認知症に関する専門的な研修を修了した職員の配置や、認知症である利用者を受け入れた割合、認知症ケアに関する会議や研修などの実施等の要件があります。
訪問系サービスでは21年度改定で創設され、24年度の改定で利用者の受入れに関する要件が一部見直されました。
下位区分の(I)において、より軽度の日常生活自立度Ⅱの者に対する評価基準が設定されています。
認知症専門ケア加算の対象となる訪問系サービス
- 訪問介護
- 訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の2024年度変更ポイント
① 認知症専門ケア加算(Ⅰ)における利用者の受入れ要件を広げ、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者を基準とした
② 認知症専門ケア加算(Ⅱ)の要件に、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者の割合(利用者の100分の20以上)を追加
③ 単位数は変更なし
2024年4月以降の訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の算定要件等
認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件
- 認知症専門ケア加算の届出を行い、「周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の利用者(日常生活自立度Ⅱ以上)」(以下、対象者)に対してサービスを提供すること。
- 利用者の総数のうち、対象者(日常生活自立度Ⅱ以上の利用者)が占める割合が50%以上であること。
- 認知症介護に係る専門的な研修を修了している従業者を、対象者の人数に応じて配置し、チームとして専門的な認知症ケアを実施していること。
- 従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催していること。
認知症介護に係る研修を修了している従業者の配置人数
| 日常生活自立度Ⅱ以上の対象者の人数 | 研修修了者の配置人数 |
| 20人未満 | 1以上 |
| 20人以上 | 1に、対象者が19人を超えて10またはその端数を増すごとに1を加えた数以上 |
認知症専門ケア加算(Ⅱ)の算定要件
- 認知症専門ケア加算の届出を行い、「日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症の利用者(日常生活自立度Ⅲ以上)」(以下、対象者)に対してサービスを提供すること。
- 利用者の総数のうち、対象者(日常生活自立度Ⅲ以上の利用者)が占める割合が20%以上であること。
- 認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件③④を満たしていること。
- 認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している従業者を1名以上配置し、認知症ケアの指導等を実施していること。
- 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施または実施を予定していること。
認知症専門ケア加算の単位数
| 介護サービス種別 | (Ⅰ)の単位数 | (Ⅱ)の単位数 |
| 訪問介護 | 3単位/日 | 4単位/日 |
| 訪問入浴介護 | 3単位/日 | 4単位/日 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 90単位/月 | 120単位/月 |
| 夜間対応型訪問介護 | 夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合 3単位/日 |
夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)を算定する場合 4単位/日 |
| 夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合 90単位/月 |
夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)を算定する場合 120単位/月 |
認知症専門ケア加算における対象者の割合の算定方法
認知症専門ケア加算の算定要件である認知症高齢者の日常生活自立度ⅡまたはⅢ以上の割合は、前3カ月間のうち、いずれかの月の利用者数で算定します。利用者数は利用実人員数または利用延人員数を用います。
なお、計算にあたり、下記の点に留意が必要です。
- (介護予防)訪問入浴介護の場合は、要支援者(要介護者)に関しても利用者数に含める。
- 包括報酬となる定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(Ⅰ)・(Ⅱ)、及び夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)の場合は、利用実人員数(当該月に報酬を算定する利用者)を用いる。※利用延人員数は用いない。
訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算のQ&A
認知症専門ケア加算に関する既出のQ&Aを一部抜粋して記載します。
参考:厚労省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A」掲載ページ※特設ページ「令和6年度介護報酬改定について」下部
| 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) 令和6年3月15日 |
| 問17
Q.認知症専門ケア加算の算定要件について、「認知症介護に係る専門的な研修」や「認知症介護の指導に係る専門的な研修」のうち、認知症看護に係る適切な研修とは、どのようなものがあるか。 |
| A.現時点では、以下のいずれかの研修である。
① 日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修 ② 日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程 ③ 日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」 ※ただし、③については認定証が発行されている者に限る。 |
| 問18
Q.認知症高齢者の日常生活自立度の確認方法は? |
| A.
・ 認知症高齢者の日常生活自立度の決定に当たっては、医師の判定結果又は主治医意見書を用いて、居宅サービス計画又は各サービスの計画に記載することとなる。なお、複数の判定結果がある場合には、最も新しい判定を用いる。 ・ 医師の判定が無い場合は、「要介護認定等の実施について」に基づき、認定調査員が記入した同通知中「2(4)認定調査員」に規定する「認定調査票」の「認定調査票(基本調査)」7の「認知症高齢者の日常生活自立度」欄の記載を用いるものとする。 ・ これらについて、介護支援専門員はサービス担当者会議などを通じて、認知症高齢者の日常生活自立度も含めて情報を共有することとなる。 |
| 問19
Q.認知症介護に係る専門的な研修を修了した者を配置するとあるが、「配置」の考え方は? 常勤要件等はある? |
| A.
・専門的な研修を修了した者の配置については、常勤等の条件は無いが、認知症チームケアや認知症介護に関する研修の実施など、本加算制度の要件を満たすためには事業所内での業務を実施する必要があることから、加算対象事業所の職員であることが必要である。 ・ なお、本加算制度の対象となる事業所は、専門的な研修を修了した者の勤務する主たる事業所1か所のみである。 |
| 問20
Q.認知症専門ケア加算(Ⅱ)の認知症介護指導者は、研修修了者であれば管理者でもかまわないか。 |
| A.
認知症介護指導者研修修了者であり、適切に事業所全体の認知症ケアの実施等を行っている場合であれば、その者の職務や資格等については問わない。 |
| 問21
Q.認知症介護実践リーダー研修を修了していないが、都道府県等が当該研修修了者と同等の能力を有すると認めた者であって、認知症介護指導者養成研修を修了した者について、認知症専門ケア加算における認知症介護実践リーダー研修修了者としてみなすことはできないか。 |
| A.
・認知症介護指導者養成研修については認知症介護実践研修(認知症介護実践者研修及び認知症介護実践リーダー研修)の企画・立案に参加し、又は講師として従事することが予定されている者であることがその受講要件にあり、平成20年度までに行われたカリキュラムにおいては認知症介護実践リーダー研修の内容が全て含まれていたこと等の経過を踏まえ、認知症介護実践リーダー研修が未受講であっても当該研修を修了したものとみなすこととする。 ・ 従って、認知症専門ケア加算(Ⅱ)について、加算対象となる者が20名未満の場合にあっては、平成20年度以前の認知症介護指導者養成研修を修了した者(認知症介護実践リーダー研修の未受講者)1名の配置で算定できることとなる。 |
| 問22
Q.例えば、平成18年度より全国社会福祉協議会が認定し、日本介護福祉士会等が実施する「介護福祉士ファーストステップ研修」については、認知症介護実践リーダー研修相当として認められるか。 |
| A.
本加算制度の対象となる認知症介護実践リーダー研修については、自治体が実施又は指定する研修としており、研修カリキュラム、講師等を審査し、適当と判断された場合には認められる。 |
| 問23
Q.認知症介護実践リーダー研修修了者は、「痴呆介護研修事業の実施について」(平成12年9月5日老発第623号)及び「痴呆介護研修事業の円滑な運営について」(平成12 年10月25日老計第43号)において規定する専門課程を修了した者も含むのか。 |
| A.
含むものとする。 |
| 問24
Q.認知症専門ケア加算における「技術的指導に係る会議」と、特定事業所加算やサービス提供体制強化加算における「事業所における従業者の技術指導を目的とした会議」が同時期に開催される場合であって、当該会議の検討内容の1つが、認知症ケアの技術的指導についての事項で、当該会議に登録ヘルパーを含めた全ての訪問介護員等や全ての従業者が参加した場合、両会議を開催したものと考えてよいのか。 |
| A.
貴見のとおり。 |
| 問26
Q.認知症専門ケア加算(Ⅱ)を算定するためには、認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件の一つである認知症介護実践リーダー研修修了者に加えて、認知症介護指導者養成研修修了者又は認知症看護に係る適切な研修修了者を別に配置する必要があるのか。 |
| A.
必要ない。例えば加算の対象者が20名未満の場合、 ・ 認知症介護実践リーダー研修と認知症介護指導者養成研修の両方を修了した者 ・ 認知症看護に係る適切な研修を修了した者 のいずれかが1名配置されていれば、算定することができる。 |
| 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4) 令和6年4月18日 |
| 問2
Q.訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算については、加算(Ⅰ)にあっては認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の割合が50%以上、加算(Ⅱ)にあっては認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合が20%以上であることが求められているが、前3月間における実績と算定期間の具体的な関係性は? |
| A.
算定要件に該当する者の実績と算定の可否については以下のとおり。 |
| 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
| 実績 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
| 算定可否 | ✕ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ✕ | ✕ |
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