訪問介護を経営・管理している皆様は、実地指導・監査の準備はお済でしょうか?ここでは、全国各地の自治体が公表している実地指導の指導事例をまとめています。皆様の事業所の所在地やお近くの地域で、どのような指導事例があったのか、その内容を知って実地指導に向けた準備を進めましょう。今回は、青森県青森市の指導事例をご紹介します。
○訪問介護員が同居家族に対してサービスを提供している。
訪問介護員に、その同居の家族である利用者に対するサービスの提供をさせないこと。また、上記によりサービスを提供したものについては、適正なサービスと認められないため、過去5年間について自主点検の上、該当するサービスがあった場合は、過誤調整を行うこと。
○訪問介護員及び使用する自家用自動車について、道路運送法に基づく許可を得ずに有償運送を行い、介護報酬を請求していた。
訪問介護で介護給付の支給を受ける場合の輸送については、有償運送許可を得た車両及び運転手によりサービスを提供すること。
なお、許可を得ずに行った有償運送を伴う介護サービスは、適切なサービスと認められず、介護報酬の対象とならないことから、これらに該当するサービスについて、過去5年間について自主点検の上、過誤調整を行うこと。
○同一建物の利用者20人以上にサービスを行っているにも関わらず減算をしていない。
1月当たりの利用者が同一の建物に20人以上居住する建物の利用者に対し指定訪問介護等を行った場合は、所定単位数の100分の90に相当する単位数を算定すること。
なお、同一建物の利用者が20人以上いた期間について、自主点検の上、過誤調整を行うこと。
○訪問介護員ごとの研修計画を策定していない。
研修計画を策定していない期間については、加算の算定は認められないため、全利用者について自主点検の上、該当する期間の当該加算について、過誤調整により返還するとともに、加算が算定されなくなる旨を市(介護保険課)へ届け出ること。
○特定事業所加算(Ⅰ)について、算定要件である常勤のサービス提供責任者2名以上を配置していない。
常勤のサービス提供責任者2名以上を配置していない期間については、特定事業所加算(Ⅰ)の算定は認められないため、全利用者について自主点検の上、該当する期間の報酬(加算)について、過誤調整により返還するとともに、加算が算定されなくなる旨を市(介護保険課)へ届け出ること。
ご紹介した事例のように、介護報酬の過誤調整が必要になる場合は、指定された期間の記録を遡って確認することをはじめ、その後の介護報酬の取り下げや再請求に伴う事務負担、会社のキャッシュフローに対する負担など、事業所経営に大きな影響を受けることになります。
ご紹介した事例が、皆様の事業所の自主点検のきっかけや、お役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
出典元:「介護サービス事業者等に対する実地指導等における指導事例」青森県青森市
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年2月27日掲載のものです。
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