新型コロナウイルスの感染状況に未だ収束の見通しが立たない中、厚生労働省はこれまで、施設入所者から感染者・感染疑い事例が出た場合の対応について、人員基準の緩和措置等の臨時的対応を講じてきました。5月21日には、施設内療養に関する支援等として、施設療養の感染者1人につき最大15万円の追加支援を実施することを明らかにしています。最新の取組みも踏まえ、介護施設におけるこれまでの特例対応について整理していきましょう。
厚労省はこれまで、新型コロナウイルス感染症に関する様々な特例措置を実施してきました。3度目の政府による緊急事態宣言が一部自治体に発令された2021年4月以降も、自治体に対して高齢者施設などで働く従業員に検査を集中的に実施するよう求めるといった取組みを実施しています。
これまでに発出された人員基準の緩和措置、介護報酬改定上の対応内容は以下の通りです。
感染流行時に自治体の要請等に基づき、新型コロナウイルス感染症患者受け入れ医療機関から退院患者を受け入れた場合は、下記を参考とした人員基準等の柔軟な取扱いが可能です。
・定員超過減算を適用しない。
・指定等基準、基本サービス費及び加算に係る施設基準について、当面の間、受け入れた入所(居)者を除いて算出できる。
●基本報酬0.1%上乗せ算定
2021年度介護報酬改定にて、新型コロナウイルス感染症への対応を評価する特例的な介護報酬として、同年4月から9月30日までの月の基本報酬に0.1%上乗せして算定することが求められます。
関連記事:新型コロナ対応の基本報酬0.1%上乗せはどう算定するか 2021年4~9月までの介護報酬特例
● 退院基準を満たした患者を受け入れた場合の加算算定
医療機関から、新型コロナウイルス感染症の退院基準を満たした患者を受け入れた場合、入所した日から起算して30日を限度として「退所前連携加算」を算定することが可能です。
(対象サービス:介護保険施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護療養型医療施設、介護医療院)
なお、介護老人保健施設の4月以降の取り扱いは、入所した日から起算して15日間は入退所前連携加算(Ⅰ)(600 単位)を算定し、16日から30日までは入退所前連携加算(Ⅱ)(400 単位)を算定することとなっています。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。