2021年度の介護報酬改定では、夜勤職員配置加算について、見守り機器やインカム等のICTを導入した場合の評価区分が新設されます。特養の夜勤職員配置加算について、2021年3月までの現行の加算と、2021年4月からの改定後の加算を比較して、変更点を確認しておきましょう。
夜間の人員基準より多い職員を配置し、より安心して生活できる環境を作った事業所を評価する加算です。
2021年度の介護報酬改定にて、テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点から、見守り機器等を導入した場合の人員配置要件について、一部緩和や要件の新設が行われます。
①「0.9人配置要件」の見守り機器の導入割合の要件について、15%から10%へ緩和
②新たに「0.6人配置要件」を新設
③「0.6人配置要件」では、見守り機器やICT導入後、算定要件基準を少なくとも3か月以上試行し、委員会にて、安全体制や職員の負担軽減等を確認した上での届出が必要
④単位数に変更はなし
・従来型(非ユニット型)の施設、ユニット型の施設で、人員基準+1名以上の介護職員、看護職員を夜間に配置すること
または
・見守りセンサーを入所者の15%以上に設置し、センサーの安全有効活用を目的にした委員会の設置と検討会の実施がある場合には、人員基準+0.9名以上の配置をすること
加算ⅠまたはⅡの要件に加えて、以下を満たすこと。
・看護職員または次のいずれかに該当する職員を一人以上配置していることa 介護福祉士b 特定登録者であって、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律附則第十三条第五項に規定する特定登録証の交付を受けている者c 新特定登録者であって、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律附則第十三条第十一項において準用する同条第五項に規定する新特定登録証の交付を受けている者d 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)附則第三条第一項に規定する認定特定行為業務従事者
・上記a、bまたはcに該当する職員を配置する場合にあっては、喀痰吸引等業務の登録(社会福祉士及び介護福祉士法第四十八条の三第一項に規定する登録をいう)を受けていること
上記dに該当する職員を配置する場合にあっては、特定行為業務(社会福祉士及び介護福祉士法附則第二十条第一項に規定する特定行為業務をいう)の登録(社会福祉士及び介護福祉士法附則第二十条第一項に規定する登録をいう)を受けていること
●従来型(非ユニット型)
●ユニット型
入居者の数の合計数が20名またはその端数を増すごとに、1名以上
・見守りセンサーを入所者の10%以上に設置し、センサーの安全有効活用を目的にした委員会の設置と検討会の実施がある場合には、人員基準+0.9名以上の配置をすること
または以下の①~③を満たすこと
①見守りセンサーを入所者全員(100%)に設置し、センサーの安全有効活用を目的にした委員会の設置と検討会の実施がある場合には、下記基準以上の配置をする
ユニット型:人員基準+0.6名以上
従来型:人員基準緩和を適用する場合0.8人、人員基準緩和を適用しない場合(入所者数25名以下の場合等)0.6人
②夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること
③安全体制を確保していること(※)
入居者の数の合計数が20名またはその端数を増すごとに、1名以上(変更なし)
・「見守り機器」をすべての居室に設置すること。「見守り機器」とは、入所者がベッドから離れようとしている状態または離れたことを感知できるセンサーであり、当該センサーから得られた情報を外部通信機能により職員に通報できる入居者の見守りに資する機器を指す。
・「情報通信機器」をすべての夜勤職員が使用し、入居者の状況を常時把握すること。「情報通信機器」とは、インカム(マイクロホンが取り付けられたイヤホン)等の職員間の連絡調整の迅速化に資する機器および見守り機器の情報を常時受信可能なスマートフォンやタブレット端末等の機器を指す。
・「見守り機器等を活用する際の安全体制及びケアの質の確保並びに職員の負担軽減」の取組の検討について、入居者の安全やケアの質の確保することを前提に、職員の負担軽減や人員体制の効率化等のバランスに配慮しながら、当該施設の実情を踏まえて取組の検討を行うこと。
・安全体制を確保していること(※)
「見守り機器等を安全かつ有効に活用するための委員会」について、管理者だけでなく、実際に夜勤を行う職員を含む幅広い職種やユニットリーダー等の役割の者が参画するものとし、当該委員会において以下の①~⑤まで事項を確認しながら、実際に夜勤を行う職員の意見を尊重しつつ、必要に応じて取組方法の改善を図り、少なくとも3月以上試行すること。なお、試行期間中においては、通常の夜勤職員基準を遵守すること。
①利用者の安全及びケアの質の確保・一律に夜間の定時巡回等をとりやめることはせず、個々の入所者の状態に応じて、個別に定時巡回を行うこと。・見守り機器等から得られる睡眠状態やバイタルサイン等の情報を基に、介護職員、看護職員、介護支援専門員その他の職種が共同して、見守り機器等の導入後の入所者の状態が維持されているか確認すること。・見守り機器等の使用に起因する施設内で発生した介護事故またはヒヤリ・ハット事例(介護事故には至らなかったが介護事故が発生しそうになった事例をいう)の状況を把握し、その原因を分析して再発の防止策を検討すること。
②夜勤を行う職員の負担の軽減及び勤務状況への配慮実際に夜勤を行う職員に対して、アンケート調査やヒアリング等を行い、見守り機器等の導入後における以下3点の内容を確認し、適切な人員配置や処遇の改善の検討等が行われていること。・ストレスや体調不安等、職員の心身の負担が増えていないか確認している・夜勤時間帯において、職員の負担が過度に増えている時間帯がないかどうか・休憩時間及び時間外勤務等の状況
③夜勤勤務時間帯における緊急時の体制整備緊急参集要員(当該施設から概ね30分以内に駆けつけることを想定)を予め設定する等、緊急時の連絡体制を整備していること。
④「見守り機器等の定期的な点検」・日々の業務の中で、予め時間を定めて見守り機器等の不具合がないことを確認する等の不具合のチェックを行う仕組みを設けること。・使用する見守り機器等の開発メーカーと連携し、定期的に点検を行うこと。
⑤「見守り機器等を安全かつ有効に活用するための職員研修」見守り機器等の使用方法の講習や、ヒヤリ・ハット事例等の周知、その事例を通じた再発防止策の実習等を含む職員研修を定期的に行うこと。
・上記の取組を少なくとも3月以上試行した後、見守り機器等を安全かつ有効に活用するための委員会において、安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上で、都道府県等に「テクノロジーを導入する場合の夜間の人員配置基準(従来型)に係る届出書」を届け出ること。
・当該届出後においても、見守り機器等を安全かつ有効に活用するための委員会を3月に1回以上行い、上記の取組を継続して実施すること。
・夜勤職員基準において算出される配置すべき夜勤職員の員数については、1日を単位として要件を満たすこととする。
・員数の計算方法については、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年老企第40号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」の第2の1(6)④を準用する。
・入所者の合計が60名以下の場合は、夜勤職員を常時1人以上配置することとし、利用者等の合計が61 名以上の場合は、夜勤職員を常時2人以上配置すること。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。