「令和4年度介護事業実態調査(介護事業経営概況調査)」が現在、全国の介護事業所や施設を対象に実施されています。回答からサービス種別ごとの収支差率が導き出され、2024年度の介護報酬改定後の単位数を検討する資料として扱われるため、国による調査の中でも介護事業に大きく影響するものです。そのため、一部の事業者団体などは適切・確実な回答を呼び掛けています。
対象の介護施設や事業所は郵送のほかにインターネットでも回答することができます。回答の締め切りはインターネットの場合は7月14日、調査票を紙で提出する場合は7月7日までの投函が必要です。
*関連記事: vol.1081令和4年度介護事業実態調査(介護事業経営概況調査)への協力依頼について(21年6月8日厚労省事務連絡)
介護事業経営概況調査とは、介護保険制度改正や介護報酬改定を検討するための基礎資料を得るため、厚生労働省が実施する統計調査の一つです。介護報酬改定が実施された年の翌年に介護保険サービスの収支の状況などを調べています。
調査の対象は全ての介護保険サービスですが、回答事業所・施設はサービス種別によって異なる抽出率(1/1〜1/25)で無作為に選ばれています。そのため、調査票が届いていない場合は回答の必要はありません。
この調査の結果で着目されるのは、各サービスごとの収支差率です。介護報酬改定には、施設や事業所の経営安定を図る目的もあるため、収支差率が以前の調査と比べてマイナスになっているなど経営状況が厳しいというデータが出れば介護報酬引き上げの検討材に、その逆に経営状況が特に良好なサービスという結果が出た場合は、報酬の据え置きや引き下げの検討材料として扱われることがあります。
調査の結果はこのように扱われるものですので、実態よりもコストが少なく回答されていたり、収益が多く計算された回答が集まった場合は、そのサービスにとって厳しい改定につながる可能性があります。
そこで、一部の事業者団体は、管理者などがひとりで回答することを避け、特に支出部分に関して、本社や本部に確認するよう呼び掛けています。
具体的な注意点としては、下記のようなものがあります。
○支出・コストを漏れなく計上する ○本部経費配賦額、法人税等も記入する ○最終的な収支差率が、法人の数字と比較して妥当か確認する
また、厚労省による特設サイトでも、会計基準に応じた調査方法の記入方法が公開されています。(※リンク先下部)
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