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目次
- 1.87%が過去に経験。介護事業者における滞納問題の実態
- 2.家族だからといって滞納額を当然に請求できる訳ではない
- 3.連帯保証人を求める際の注意点:将来的に発生する債務と個人根保証契約
- 4.121年ぶりの民法改正による連帯保証契約のルールが変更に
1.87%が過去に経験。介護事業者における滞納問題の実態
我々弁護士法人かなめは、日本全国の介護事業者を法的にサポートしておりますが、中でも多い法律相談は「利用者が利用料金を支払ってくれない」という相談です。
あまりに相談件数が多いので、「実態調査をしよう」と思い立ち、介護事業所を運営する法人に対して、滞納問題実態調査アンケートを実施しました。調査期間は、2021年9月22日から同年9月末までの約一週間という短期間ですが、合計105法人から回答を得ることができました。
さて、アンケート結果で衝撃を受けたのは、「過去に滞納問題が発生したことのある」と回答した割合の高さです。
何と、実に87%の介護事業者が過去に滞納問題で悩んだことがあるという結果が出たのです。
さらには、現在進行形で、滞納問題に悩んでいる介護事業者の数も多数に上ります。
アンケート結果の中には、「福祉事業者として苛烈な取立てはできない」と思い悩んだ結果、滞納額が約300万円にも達してしまったことがあると内情を吐露して下さった介護事業者もあり、滞納問題に深く悩んでおられることが窺い知れます。
介護事業は、日本全国に存在し、利用者、その家族、そして地域社会そのものを支えるインフラです。
一生懸命に介護サービスの提供をしたにも関わらず、滞納問題が生じ、その解決ができない状態が続くと、介護現場のモチベーションは低下します。何より、滞納が頻繁に発生してしまうと、介護事業の運営に影響を及ぼしかねません。日本のインフラである介護事業の継続には、滞納問題の解決が不可欠です。
そこで、本稿から複数回に分けて、滞納問題への法的対処法を解説します。
初回は、連帯保証契約における注意点について解説します。
2.家族だからといって滞納額を当然に請求できる訳ではない
さて、利用者が利用料金を滞納している場合、当然のようにそのご家族に滞納分を請求できる訳ではありません。
畑山浩俊
弁護士法人かなめ代表弁護士。1986年生奈良県出身。29歳で法律事務所を設立。介護特化型弁護士。特化している分野は、介護事業所に対するリーガルサポート、労働トラブル対応、介護経営者支援。
無料で誰も学べる環境を作るためYouTubeチャンネル『弁護士畑山浩俊の介護保育研究所』も運営中。
https://www.youtube.com/channel/UCpj-I5JN_ALi-5deMSiOj0g
【弁護士法人かなめHP】
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