2021年度介護報酬改定によって、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、以下・特養)では口腔・栄養ケアに係る体制整備や管理が基本サービスに組み込まれています。3年の猶予措置が設けられていますが、福祉医療機構の調査結果によると、約5割の施設事業所がいずれも既に「対応している」ことがわかりました。栄養ケア体制と比べやや低い水準に留まった口腔ケア体制では「歯科医院等との連携」等の要件がネックとなってると考えられます。
また、新設されたADL維持等加算や自立支援促進加算の算定率は低く、加算取得に関する事務作業負担の増加を訴える声が目立ちます。
以前ご紹介した福祉医療機構の調査結果をもとに、特養における報酬改定の影響を読み解きます。
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本アンケートは、福祉医療機構の貸付先のうち、介護保険法に基づくサービスを実施する 5,701法人を対象にWeb上で実施されました。
・アンケート実施期間:2021年7月29日から同8月25日まで ・アンケートへの回答総数:1,446法人(社会福祉法人は71.4%、医療法人は15.3%、営利法人は10.3%) ・アンケート回答率:25.4%
回答事業所のうち、特養の構成は「広域型(小規模型を含む)」が約8割、「地域密着型」が約2割、居室タイプは約6割がユニット型(複数回答可)でした。
【画像】WAMの2021 年度介護報酬改定に関するアンケート結果より抜粋
2021年度介護報酬改定にて、特養の基本報酬は1日当たり14〜16単位引き上げられました。その一方で、口腔衛生管理体制加算と栄養マネジメント加算が廃止となり、それらの算定要件が運営基準に組み込まれています。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。