社会保障審議会・介護給付費分科会の審議報告がまとまり、これによって2024年度介護報酬改定による具体的対応が固まりました。しかし、介護医療院や介護老人保健施設における多床室の室料負担については最後まで結論がまとまらず、「予算編成過程において検討」されることになっていました。
12月22日になり、この室料負担の導入について、老健と介護医療院それぞれの一部類型において「月額8千円相当」の室料負担が決定されたことが明文化されています。
審議報告のとりまとめに入る直前の12月4日の分科会で厚生労働省は、多床室の室料負担について集中的な検討を促していました。具体的な論点とその際に示されていた改定案は以下の通りです。
まず、介護医療院についてです。
厚労省は「一定の所得を有する多床室の入所者から室料負担を求める」ことを提案しています。その際、利用者負担第1〜第3段階の者は、補足給付によって利負担額を増加させないものとしていました。
室料負担を導入する理由としては、
を挙げていました。
次に、介護老人保健施設についてです。
こちらについては介護医療院同様死亡退所の多い「療養型」及び「その他型」の老健において介護医療院同様に、第1〜第3段階の利用者には補足給付で手当をしつつ、室料負担を求めることが検討されていました。
(【画像】第234回社保審・介護給付費分科会給付費分科会(資料3)より)
老健や介護医療院への室料負担の導入についての検討は、前述の通り平行線に終わっています。導入推進派は、健保連や全国健康保険協会を代表する委員で「利用者の在所日数が一定期間を超える場合は、対応案以外のタイプの老健施設でも室料負担を求めるべき」などの意見を表明しています。
対して、老健や介護医療院を経営する立場を代表する委員のほか、利用者を代表する委員は以下の通り反対しています。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。