11月26日に開かれた第194回社保審・介護給付費分科会にて、2021年度の介護報酬改定に向けた具体的な論点と対応案が示されました。感染症や災害への対応力強化に向けた論点では、通所介護や通所リハ等において、事業所規模別の報酬区分設定に関する新たな提案がなされました。
現行では、通所介護や通所リハ等の基本報酬について、事業所の規模に応じた報酬区分が設定されています。また、報酬区分の決定にあたっては、前年度の平均延べ利用者数の実績に基づいて、翌年度の事業所規模による報酬区分が決定される仕組みを採用しています。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染防止や3密回避などの理由で利用者が減少するなどして、現行の報酬区分の決定方法では、来年度以降の安定的な運営が難しい事業所が、あることが懸念されます。
そこで厚労省は、感染症や災害等の影響により利用者の減少がある場合に、その状況に即した安定的な運用を可能とすることを目的とし、事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、「前年度の平均延べ利用者数」ではなく、「直近の一定期間における平均延べ利用者数」の実績を基とする方向性を提示しました。
これについて、日本経済団体連合会の井上隆氏は「提案について理解はできるが、災害対応は公費と保険料をどのように使い分けていくかを整備をしながら進めていくことが必要」と意見を述べました。感染症や災害への対応については関心が集まるところであり、今後の議論の動向に注目していきましょう。
引用:第194回社保審・介護給付費分科会「感染症や災害への対応力強化」より
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。