介護事業を経営している皆様は、年間の資金(支払)計画を作成していますか?
介護事業では、利用者様の獲得が順調に進むことで毎月の収入は安定しますが、「介護報酬が2ヵ月遅れで入金すること」、そして「経費精算のために支出する金額が月や時期によって変動すること」から、損益(当期純利益)だけでなく、資金(支払)計画について把握することはとても重要です。
この記事では、介護事業の年間スケジュール表や資金計画書の例をご紹介していますので、参考にしていただき、皆様の会社の資金計画をチェックしておきましょう。
日々の取引内容を会計ソフトなどに入力し、月次決算書や決算書を作成する業務では、「資産・負債」と「損益」を中心に把握することになりますが、この記事でいう「資金支出」は、経費の精算のために「現金・預金を支払いを行うこと」を指しています。
一般的な経費の支払いは、相手先との契約によって対象となる期間や支払期日が違います。そのため、大きく分けると「毎月の支払い」と「決まった月にだけ発生する支払い」に分けることができます。
この「決まった月にだけ発生する支払い」の代表的なものが『賞与(ボーナス)』ですが、それ以外にも様々な項目があり、手元資金を圧迫することがあるので注意が必要です。
それでは、決算期が3月の会社を例に、資金支出の年間スケジュール表を見ていきましょう。
※賠償責任保険や火災保険、自動車保険などは保険の種類や始期によって支払月が変わります。
年間スケジュール表に記載した項目以外にも、「暖房費」など時期によって発生する支払いや、「借入金の返済(元本・利息)」や「リース料」、「家賃」などを年払い(毎月支払い以外)で契約している場合、「車検の費用」、「固定資産・備品の買い替え」といった定期的に発生する支払いがあると、その支払月の資金支出が増えることになります。
介護事業を運営する多くの会社で、現金・預金による支払いを期日までに適切に行うために、『資金計画書』が作成されています。
ここでは、通所介護と訪問介護の資金計画書の例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この例では、5月の法人税や自動車税、業務委託費などのまとまった支払いがあるタイミングと6月・12月の賞与の支払いがあるタイミングは、単月で見ると支払いの方が多くなることがわかります。
この例でも通所介護と同様に、5月の法人税や自動車税、業務委託費などのまとまった支払いがあるタイミングと6月・12月の賞与の支払いがあるタイミングは、単月で見ると支払いの方が多くなることがわかります。
また、この例の事業規模の場合、6月・12月の賞与の支払いがあるタイミングでは年度内の資金収支の累計にも大きく影響していることがわかります。
手元資金を把握し、資金計画を立てることで、「どの月にどれくらいの支出があり、資金が不足するかどうか」がわかりますが、これはあくまで『予定』です。
事業所を運営する中では『不測の事態』が起きてしまい、資金が足りなくなる場合があります。この『不測の事態』の例をいくつかご紹介します。
資金計画書を作成して、もし「○○月は資金が足りなくなるかも?」となった場合は、以下のような対応が考えられます。
取引先等に対して期日までに支払いを行えないと、会社の信用を失うことになり、場合によっては取引の停止など事業所の運営にも影響してしまいます。
この記事でご紹介した内容が、資金計画を考えるきっかけや資金計画書の作成のお役に立てば幸いです。
事業所の資金繰りに関して不安やお困りのことがありましたら、カイポケ会員以外も利用できる 「カイポケファクタリングサービス」 までお気軽にご相談ください。
介護経営ドットコムの記事を制作・配信している編集部です。日々、介護事業所を経営する皆さんに役立つ情報を収集し、発信しています。