新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、介護老人保健施設の基本サービス費の指標の取り扱いなどについて通知・Q&Aが出ています。感染拡大防止のための取り組みと高齢者の生活の維持が求められている中で、どのような取扱いが通知されているのかを確認しましょう。
●該当サービス
介護老人保健施設
●通知資料
新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて第3報・第5報・第7報・第8報・第11報・第12報・第13報・第16報・第17報
Q.新型コロナウイルス感染症に伴い学校が休校等になることにより、一時的に人員基準等を満たせなくなる場合、介護報酬の減額を行わない等の柔軟な取扱いは可能か。
A.可能である。
Q.都道府県等が、公衆衛生対策の観点から入所又は退所の一時停止、併設サービスの事業の全部又は一部の休業等を要請した場合、介護老人保健施設の基本施設サービス費及び在宅復帰・在宅療養支援機能加算に係る施設基準において、「算定日が属する月の前6月間」等の指標の算出に当たって使用する月数に、その期間を含む月は含めないとする取扱いは可能か。
Q.介護老人保健施設が感染拡大防止の観点から特に必要と考えられることから、自主的に入所又は退所の一時停止、併設サービスの事業の全部又は一部の休業を行った場合、問1と同様の考え方でよいか。
A.貴見のとおり。ただし、入退所を一時停止する期間及び休業する理由を事前に許可権者に伝えるとともに、記録しておくこと。なお、新型コロナウイルス感染の疑いや濃厚接触の疑いがない者の入退所については、地域の感染状況も踏まえながら従前どおり行うよう努めること。
Q.2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)(令和2年3月30日)において、「令和2年4月分の介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を取得しようとする介護サービス事業所等は、令和2年4月15日までに介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書を提出する」こととされているが、新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの提出が難しい場合、どのような対応が可能か。
A.新型コロナウイルス感染症への対応により、期限までの提出が難しい場合、指定権者に対し、4月15日までに、
・新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの計画書の提出が難しいこと
・要件を満たし算定を行う介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算の区分
を説明することで、4月サービス提供分より算定することが可能である。この場合、本年7月末までに計画書を提出すること。なお、計画書の提出時点において、算定区分が異なる場合等は、過誤処理を行うこととなる。
Q.「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第5報)」(令和2年3月26日付厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)問1及び2について、入所又は退所の一時停止に関して、感染状況等を踏まえ一部の地域からの入所や一部の地域への退所のみ停止している場合も同じ取扱いの対象となるという理解でよいか。
A.貴見のとおり。なお、その場合であっても、自主的に一時停止等を行う場合は、一時停止等を行う期間及び理由を事前に許可権者に伝えるとともに、記録しておくこと。
Q.「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第7報)」(令和2年4月9日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)問1で、新型コロナウイルス感染症への対応により、令和2年4月分の介護職員処遇改善加算又は特定処遇改善加算を取得しようとする介護サービス事業所等で、期限までの提出が難しい場合の取扱いが示されているが、5月、6月分について、新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの提出が難しい場合も、これに準じた対応が可能か。
A.5月及び6月サービス提供分についても、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第7報)」問1に準じた取扱いが可能である。
Q.令和元年度に取得した介護職員処遇改善加算等について、令和元年度の実績報告書について、新型コロナウイルス感染症への対応により期限までの提出が難しい場合、どのような対応が可能か。
A.各事業年度における最終の加算の支払があった月の翌々月の末日までに、都道府県等に対して実績報告書を提出することとなっているが、新型コロナウイルス感染症への対応により提出が難しい場合は、提出期限を8月末まで延長することが可能である。
短期入所生活介護・短期入所療養介護に対して、ケアプランに利用の計画がある場合でも緊急短期入所受入加算を算定できる特例を新設しました。サービス提供のあった日数を3で割った日数について算定できるようになります。6月1日から適用されます。
Q.令和2年6月1日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」(以下、「第12 報」という。)において示された通所系サービス事業所・短期入所系サービス事業所における介護報酬の算定の取扱いについては、都道府県等からの休業の要請を受けて休業した事業所や、利用者・職員に感染者が発生した事業所、その他の利用者数の制限や営業時間の短縮等の臨時的な営業を行っている事業所のみに適用されるのか。
A.新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応を適切に評価する観点から、上記事業所のみならず、感染防止対策を徹底してサービスを提供している全ての通所系サービス事業所・短期入所系サービス事業所を対象とすることが可能である。
Q.第12報における取扱いについては、6月サービス提供分より適用となるが、当該取扱いの適用の終了日については、現時点で未定なのか。
A.貴見のとおり。なお、当該取扱いを適用し請求する場合においても、通常の請求と同様、請求時効は2年である。
Q.第12報における取扱いを適用する際には利用者への事前の同意が必要とされているが、
① サービス提供前に同意を得る必要があるのか。
② 利用者への同意取得は、当該取扱いによる介護報酬の算定を行う事業所あるいは居宅介護支援事業所のいずれにより行うのか。
③ 利用者の同意は書面(署名捺印)により行う必要があるか。
A.
① 同意については、サービス提供前に説明を行った上で得ることが望ましいが、サービス提供前に同意を得ていない場合であっても、給付費請求前までに同意を得られれば当該取扱いを適用して差し支えない。(例えば、6月のサービス提供日が、8日・29日である場合、同月の初回サービス提供日である6月8日以前に同意を得る必要はない。)
② 当該取扱いによる介護報酬の算定を行う事業所、居宅介護支援事業所のいずれにより同意取得を行っても差し支えなく、柔軟に対応されたい。なお、当該取扱いを適用した場合でも区分支給限度額は変わらないことから、利用者への説明にあたっては、当該取扱いによる介護報酬の算定を行う事業所と居宅介護支援事業所とが連携の上、他サービスの給付状況を確認しておくこと。
③ 必ずしも書面(署名捺印)による同意確認を得る必要はなく、保険者の判断により柔軟に取り扱われたいが、説明者の氏名、説明内容、説明し同意を得た日時、同意した者の氏名について記録を残しておくこと。 また、当該取扱いを適用する場合には、居宅サービス計画(標準様式第6表、第7表等)に係るサービス内容やサービスコード等の記載の見直しが必要となるが、これらについては、サービス提供後に行っても差し支えない。
Q.ユニットリーダー研修については、「新型コロナウイルス感染症に係るユニットリーダー研修の取扱について」(令和2年2月28日付厚生労働省老健局高齢者支援課事務連絡)(別添1)において、実地研修の延期・中止、当該年度に実施できない実地研修については、来年度、指定された実地研修施設において研修を受講できるものとして取り扱うことを検討するよう通知されている。新型コロナウイルス感染症の影響により実地研修の中止・延期が継続している中において、人員基準上のユニットリーダー研修実地研修未修了者の人員基準上の取扱い如何。
A.ユニットリーダー研修については、今般の新型コロナウイルス感染症への対応により、例年どおり実地研修が実施できない期間が生じていることから、特例措置として、当面の間、講義・演習を受講済みであって実地研修は未修了の者について、実地研修が可能となった際は速やかに受講することを条件に、人員基準上、暫定的にユニットリーダー研修修了者として取り扱って差し支えないものとする。
Q.ユニットリーダー研修及びユニットケア施設管理者研修については、「「ユニットケア施設管理者研修」及び「ユニットリーダー研修」の実施について」(平成29年6月1日老高発0601第3号厚生労働省老健局高齢者支援課長通知)(別添2)によりカリキュラムが示されているところであるが、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた対応如何。
A.ユニットリーダー研修及びユニットケア施設管理者研修の講義・演習部分については、令和2年度第一次補正予算において通信教材を作成しているところであり、これを活用するなどオンライン化を図ることが望ましい。なお、通信教材については、別途DVD媒体で10月下旬頃に郵送する予定であることを申し添える。
社会福祉施設等における面会も含めた感染拡大防止のための留意点については、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)(一部改正)」(令和2年10月15日付厚生労働省健康局結核感染症課ほか連名事務連絡)(別添3)においてお示ししたところであるが、ユニットリーダー研修における実地研修の実施については、地域の感染状況等を踏まえ、各自治体において委託先と協議の上実施の可否を検討し、委託先及び実地研修施設へ方針等を周知すること。
なお、ユニットリーダー研修及びユニットケア施設管理者研修をオンライン以外で実施するに当たっては、・研修受講者が発熱、のどの痛み、倦怠感、嗅覚・味覚障害等の症状を有する場合は受講を断ること・研修中のマスク着用、研修前後の手指消毒を求めること・ 研修に使用する机、椅子、ドアノブ等の清掃及び消毒を行うこと・人と人との距離をとること(Social distancing: 社会的距離)・定期的に換気を行うことなどの適切な感染防止対策を講じること。また、研修目的及びカリキュラム内容に沿っていれば、具体的な実施方法については、各自治体において柔軟に判断することで差し支えない。
Q.介護保険施設等において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う入院患者増加に対応するため、感染流行時に自治体の要請等に基づき、新型コロナウイルス感染症患者受け入れ医療機関(受け入れ予定の医療機関を含む)から退院患者を受け入れた場合は、人員基準等の柔軟な取扱いが可能か。
A.可能である。例えば、定員超過減算を適用しない、また指定等基準、基本サービス費及び加算に係る施設基準について、当面の間、受け入れた入所(居)者を除いて算出することができる。
なお、(介護予防)短期入所生活介護、(介護予防)短期入所療養介護、(看護)小規模多機能型居宅介護、地域密着型介護福祉施設入所者生活介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護(地域密着型含む)、(介護予防)認知症対応型共同生活介護においても同様である。
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年4月21日掲載のものです。
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