介護報酬改定4月から6月実施への変更を検討―社保審・介護給付費分科会で賛否

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2024年度から介護報酬改定の時期を6月にしてはどうか―。改定に向けた審議の場で、厚生労働省がこんな提案を行いました。診療報酬は4月1日の改定時期を24年度から6月1日に後ろ倒しすることが既定路線となってます。果たして介護報酬改定もこれに合わせるべきかどうか。

突如として示された重大な変更点ですが、実際にどうなるのかまだ行方は見通せません。

報酬改定時期の”後ろ倒し”なぜ議論に?

介護報酬改定の時期を遅らせることについて、厚労省が初めて正式に検討事項としたのは10月11日社会保障審議会・介護給付費分科会です。

なぜ、このような検討が行われることになったのか。それは、診療報酬改定を24年度から後ろ倒しして6月に実施することが中央社会保険医療協議会の総会で承認されたためです(ただし、薬価改定は例年通り4月1日に実施される予定です)。

これまでは、医療保険領域でも介護報酬同様、改定年の3月までに改正告示等によって変更される規定の詳細が示されたのち、4月に改定が実施されてきました。

この慌ただしいスケジュールの中で、医療機関・薬局等や報酬請求に関わるシステムなどを開発・提供するベンダーは報酬改定や法・制度等の変更など広範囲の対応を実施しなければなりません。これが業界のDXの妨げになっているとし、負荷を分散させるために報酬改定のタイミングを遅らせるという施策が認められています。

これを踏まえて厚労省は今回、介護報酬改定も6月に実施すべきかどうか、分科会の委員に意見を求めました。

改定タイミングの決定時期は見通せず

委員の受け止め方は大きく分かれました。

訪問看護ステーションや医療法人など、診療報酬も介護報酬も請求する立場を代表する委員は、同時期の実施を強く要望しています。

しかし、第9期介護保険事業(支援)計画期間は24年4月に始まることなどから、報酬改定のタイミングがずれると行政的な手続きなどにおいて様々な混乱が起こることは明らかです。

医療保険と異なり、介護保険制度の実質的な運営は市町村が担うことなどからも行政を代表する立場の委員からは様々な懸念が表明されました。

会合後、厚労省は施行時期が正式に決まるタイミングについて「もう少し先に決めるよう議論を進める」と述べるに留めています。

今後、同分科会では24年度介護報酬改定を6月にずらすことを1つの選択肢として、引き続き検討・調整を進めていくことになります。

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