看護師の定着に向けた役割と段取りの明確化―理論に基づく訪問看護経営(8)

2022.10.24
2022.11.09
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前回は、組織の健全性を実現していくために活用できるフレームワークGRPIモデルにおいて最も重要な『目的・目標(Goal)が明確になっている状態』をどの様にして作っていくかについて説明をいたしました。今回は、GRPIモデルのうち、『Roles(役割)』と『Process(段取り)』について詳説して具体的に訪問看護ステーションでどのようにいいチーム作りをしていくか説明していきたいと思います。

目次
    チームメンバーの『Roles(役割)』は明確になっているか?
      チームの『Process(段取り)』が明確になっているか?

      チームメンバーの『Roles(役割)』は明確になっているか?

      前回、GRPIモデルを活用した良いチーム作りに最も大切な要素である『目的・目標(Goal)』を明確にする方法について説明をしてきました。では、二つ目の要素である『Roles(役割)』についてはどうでしょうか。

      以前にも取り上げましたが、訪問看護ステーションの職員からよく上がる不満には、「管理者が意地悪で、私ばかり大変な役回りをさせられている」というものがあります。この様な不満は『Roles(役割)の不明確さ』に起因していると考えられます。それでは、どうしたらRoles(役割)が不明確では無くなり、こういった不満や不和を防ぐ事ができるのでしょうか。

      まず念頭においておく必要があるのは、業務や役割を分担して事業を行うのは目的・目標(Goal)の達成のためであるということです。ですので、訪問看護ステーションにおいては目的・目標(Goal)の達成のために必要な業務・役割が組織で全て網羅されており、かつメンバーのスキル・知識・経験を存分に活かせるような役割分担や訪問スケジュール等が割り振られているということが重要です。しかし、その役割や業務分担は管理者の頭の中だけで行われ、何故そうなっているのか、他の人はどのような役割を担っているのかが共有されていないと上記のような「私ばかりが・・・」といった不満が生じやすくなってしまいます。そこで、経営者や管理者は各職員がどのような役割や業務を担っているか、そして任せたのは何故なのかということを本人が腹落ちするだけではなく全職員に共有され合意形成をする機会を持つ必要があります。

      チームのRoles(役割)が明確になっている状態についてまとめると、下記の様に考えられます。

      このような状態を実現するためには、職員が自らの役割や業務に自信がもてるように経営者や管理者が1on1等の定期的なコミュニケーションの機会を設けて職員個々の不安を取り除き、エンカレッジするような関わりも重要になります。そのためには日々、職員が業務に取り組む様子をよく観察し、適宜声かけや必要であれば対話をしていくことが効果的です。

      また、前提として、採用の段階で個々の職員に対してどの様な役割や業務を担うことを期待しているのかを伝え、応募者のスキル・知識・経験やニーズとマッチしていることをお互いに確認しておくことも重要になります。そうすることで、採用後にお互いのニーズのアンマッチを最小限に防ぐ事ができます。

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