2021年度の介護報酬改定では、排せつ支援加算について、単位数の変更や区分の新設があります。2021年3月までの現行の加算と、2021年4月からの改定後の加算を比較して、変更点を確認しておきましょう。
排せつ障害等がある入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画に基づき支援することを評価する加算です。
対象サービス:介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院、看護小規模多機能型居宅介護(2021年4月より追加)
2021年度の介護報酬改定にて、介護の質の向上に係る取組を一層推進する観点から、現行の排せつ支援の取組(プロセス)への評価に加え、状態改善等(アウトカム)が新たに評価されます。
①「排せつ支援加算」100単位/月から、下記の加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲに区分変更・「排せつ支援加算(Ⅰ)」10単位/月・「排せつ支援加算(Ⅱ)」15単位/月・「排せつ支援加算(Ⅲ)」20単位/月
②6月の算定上限が見直され、6月を超えて算定が可能に
③加算Ⅰ~Ⅲの併算定は不可
④看護小規模多機能型居宅介護が加算の対象サービスに追加
排せつ支援加算:100単位/月
排せつに介護を要とする入所者のうち、適切な対応を行うことによって要介護状態の軽減が見込まれると医師等が判断した者に対して、以下の取り組みを行うことにより算定可能。
・施設の医師、看護師、介護支援専門員他が共同で、該当する入所者が排せつ介護を必要とする原因を分析すること
・原因分析に基づいた支援計画の作成
・支援計画に基づいた支援を継続して実施
・6月を限度として算定
排せつ支援加算(Ⅰ):10単位/月(新設)
排せつ支援加算(Ⅱ):15単位/月(新設)
排せつ支援加算(Ⅲ):20単位/月(新設)
①排せつに介護を要する入所者等ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師または医師と連携した看護師が施設入所時等に評価するとともに、少なくとも6月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、排せつ支援に当たって当該情報等を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
② ①の評価の結果、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師、看護師、介護支援専門員等が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、当該支援計画に基づく支援を継続して実施していること
③ ①の評価に基づき、少なくとも3か月に1回、入所者等ごとに支援計画を見直していること
加算Ⅰの要件に加えて、以下を満たすこと。
・要介護状態の軽減が見込まれる者について、 施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに、いずれにも悪化がないまたはおむつ使用ありから使用なしに改善していること
・要介護状態の軽減が見込まれる者について、 施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに、いずれにも悪化がないかつ、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
・加算Ⅰ~Ⅲの併算定は不可。現行の加算を算定する事業所に経過措置を設定
・6月を限度としていた点が見直され、6月を超えて算定が可能に
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。