社会保障審議会の介護給付費分科会は12月19日、2024年度介護報酬改定に向けた審議の報告をまとめました。これによって、事実上の改定項目が確定しました。
こちらのページでは【訪問介護】に関する改定項目をまとめます。
*出典:令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(厚労省ホームページ)
特定事業所加算について、看取り期の利用者など重度者へのサービス提供や、中山間地域等で継続的なサービス提供を行っている事業所を適切に評価する観点等から以下の見直しを行うこととなっています。
ア)看取り期における対応を適切に評価する観点から、重度者対応要件として、「看取り期にある者」に関する要件を新たに追加する。
イ)中山間地域等において、地域資源等の状況により、やむを得ず移動距離等を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない場合があることから、利用者へ継続的なサービスを行っていることについて新たに評価を行う。
ウ)重度要介護者等への対応における現行要件について、実態を踏まえ一部の現行区分について見直し等を行う。
同一建物減算について、事業所の利用者のうち、一定割合以上が同一建物等に居住する者への提供である場合に、報酬の適正化を行う新たな区分が創設されます。
感染症・災害に対応するための業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算となります。 ※2025年3月31日まで、適用除外。
虐待の発生や再発を防止するための措置(委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬が減算となります。
利用者や、他の利用者等を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととなります。身体的拘束等を行う場合には、その態様や時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録することが義務付けられます。
認知症専門ケア加算について、認知症高齢者の重症化の緩和や、日常生活自立度Ⅱの方に対して適切に認知症の専門的ケアを行うことを評価する観点から、利用者の受入れに関する要件を見直すこととなります。
訪問介護事業所と歯科専門職の連携のもと、
を評価する新たな加算が設けられます。
介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件と加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化されます。
※経過措置期間:2024年度末まで
また、以下の見直しが実施されます。
ア 職種間の賃金配分について、引き続き介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとしつつ、職種に着目した配分ルールは設けず、一本化後の新加算全体について、事業所内で柔軟な配分を認める。
イ 新加算の配分方法について、 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、一番下の区分の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てることを要件とする。
それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合に、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することを求める。
ウ 職場環境等要件について、生産性向上や経営の協働化に係る項目を中心に、人材確保に向け、より効果的な要件とする観点で見直しを行う。
人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、取扱いの明確化が行われます。、その際、職種や業務ごとに具体的な考え方が示されます。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなされ規定が適用されている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることが明確化されます。
過疎地域など人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められ、特別地域加算の対象と告示で定める地域について、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域について、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しが行われます。
※このほか、全てのサービスに共通する改定事項(短時間勤務制度を導入する場合の「常勤」配置の緩和、管理者の兼務範囲の明確化、重要事項等のウェブサイトでの公表)が加わります。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。