2024年度診療報酬の改定項目原案が公開―中医協・総会「議論の整理」とりまとめへ

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2024年度に実施される診療報酬改定項目が固まりつつあります。厚生労働省は、1月10日の中央社会保険医療協議会総会でこれまでの「議論の整理」の原案を示しました。これで事実上、診療報酬改定の項目がほぼ出揃ったことになります。今回の改定では、入院中にADLなどが悪化しやすい高齢者の救急患者等に対し、リハビリテーションや栄養管理など包括的にサービス提供を行う医療機関に報酬上の評価が設けられる方針です。また、かかりつけ医機能の評価には、介護支援専門員との連携強化を促す要件などが盛り込まれます。

介護サービス事業者やその利用者層と関わりが深い項目を中心に紹介します。

2024年度診療報酬改定の全体像―4つの「基本的視点」

6月1日に実施される2024年度診療報酬改定は、以下の4つの”基本的視点”に沿った対応が実施されます。

(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
(3)安心・安全で質の高い医療の推進
(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

看護補助者や医療機関で働く介護福祉士を対象とした賃上げが重点施策に

特に、(1)の人材確保は重点課題に位置付けられており、今回の改定では看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)や病院・診療所で働く薬剤師など幅広い医療関係職種のベースアップを実現するための財源が確保されています。

(【画像】診療報酬の改定率と賃上げの対応(第577回中央社会保険医療協議会・総会資料【総ー2】より)

なお、このベースアップの対象には、介護職員と比べると給与が低い水準のままになっている看護補助者(資格を持たずに入院患者の療養生活上の世話にあたる職種)も含まれています。

(【画像】ベースアップの対象となる職種(同資料より編集部で作成))

介護保険サービスや高齢者との関係が深い2024年度診療報酬の改定項目

「議論の整理」案では、基本的視点に沿って診療報酬や訪問看護療養費の項目にどのような変更を加えるべきであるのかがまとめられています。

介護保険サービスやその利用者層と関わりが深い項目を以下に紹介します。

高齢患者の入院受け入れ等に関する対応

  • 高齢者の救急患者等に対して一定の体制を整えた上で、リハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に提供する新たな評価を行う。
  • 介護保険施設の協力医療機関が施設入所者を受け入れた場合、新たな評価を行う。
  • 人生の最終段階における適切な意思決定支援を推進する観点から、指針の作成を入院の要件とする。
  • 在宅療養支援病院(在支病)、在宅療養後方支援病院、在支診、地域包括ケア病棟の要件を見直し、介護保険施設の求めに応じて協力医療機関を担うことを促す。
  • 感染対策向上加算(医療機関内及び地域の医療機関等との連携によって感染防止対策を行い、新興感染症の発生時等に感染症患者を受け入れる体制等を確保している医療機関を評価する加算)の要件を見直し、介護保険施設等との連携を推進する。
  • 介護サービスを提供している有床診療所が高齢患者等の入院を受け入れた際に算定できる「介護連携加算」の名称と要件を見直し、医療・介護・障害福祉サービスにおける連携を推進する。
  • 地域包括ケア病棟における適切な在宅患者等の緊急入院の受入れを推進する(在宅患者支援病床初期支援加算の見直し)
  • 緩和ケア病棟における在宅療養支援をさらに推進する(緊急入院初期加算の要件見直し)

入院患者のスムーズな在宅復帰や地域・介護施設等での生活を支援するための対応

  • 退院困難な事情があるが在宅療養を希望している入院患者らに対する入退院支援を評価する加算(入退院支援加算1及び2)の要件を見直し、関係機関との連携強化や生活に配慮した支援の強化、入院前からの支援強化を促す。
  • 医療と介護の両方を必要とする患者が施設での生活を継続しやすくするため、医療保険で給付できる医療サービスの範囲を見直す(介護保険施設と障害者支援施設での対応が困難な医療行為を医療保険で算定可能にする、薬局薬剤師が老健等に入所する患者に専門的な薬学管理が必要な薬剤の調剤や服薬指導等を行った場合の医療保険と介護保険の給付調整の範囲を見直す)
  • 地域包括ケア病棟入院料の評価体系を入院期間に応じたものに見直し、同病棟を持つ医療機関が提供する訪問看護に係る実績の基準を見直すことによって適切な在宅復帰支援を推進する。
  • 短期入所を含めた介護老人福祉施設入所者に係る薬学管理の評価を見直し、介護保険施設における適切な薬剤提供や服薬管理等を推進する。
  • 訪問・通所リハビリテーション事業所と医療機関との連携を更に推進するため、疾患別リハビリテーション料の要件を見直し、リハビリテーション計画提供料を廃止する。
  • 退院後の在宅での療養に関する説明や指導を在宅療養を担う医師らの専門職や訪問看護ステーションの専門職らと共同で実施し、文書で情報提供した際に算定できる加算(退院時共同指導料2)の要件を見直し、退院後早期に継続的で質の高いリハビリテーションを推進する。
  • 退院後の生活を見据えて、療養病棟における栄養管理体制の基準を明確化する。
  • 介護保険施設の入所者が、可能な限り施設での生活を継続できるよう、病状の急変時に、平時からの連携体制を構築している介護保険施設の協力医療機関の医師が往診を行った場合に、新たな評価を行う。

かかりつけ医の介護支援専門員との連携強化や認知症対応力向上のための対応

  • かかりつけ医機能の評価として、介護支援専門員との連携強化や認知症対応力向上、適切な意思決定支援などを促すためのインセンティブをつける(地域包括診療料等の要件見直し)

在宅医療に関する改定項目

  • 在支診や在支病が連携体制を構築している医療機関が訪問診療を行っている患者に対して往診を行った場合の評価を新設し、地域における24時間の在宅医療の提供体制の構築を推進する。
  • 在支診・在支病以外の医療機関が行う訪問診療について、在宅療養移行加算の評価を見直し、在宅での療養患者が安心して24 時間対応を受けられる体制を推進する。
  • 緊急の往診について、患者の状態に応じた適切な往診の実施を推進する観点から、評価を見直す。
  • 医師・歯科医師が在宅の療養患者に対して計画的な医学管理を行う際に、患者の医療・ケアに携わる関係職種がICTを用いて記録した診療情報等を活用した場合、新たな評価を行う。
  • 注射による麻薬の投与に関する指導管理について評価を新設し、末期の悪性腫瘍の患者以外の在宅療養患者に対する緩和ケアを充実させる。
  • 在宅で療養を行う末期の悪性腫瘍の患者の急変時等に、ICTの活用によって医療従事者等の間で共有されている人生の最終段階における医療・ケアに関する情報を踏まえ、医師が療養上必要な指導を行った場合の評価を新設。
  • 本人の望む場所でより患者の希望に沿った看取りを支援する観点から、 ターミナルケア加算の要件を見直す。
  • 在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の評価を訪問診療の算定回数等に応じたものに見直す。
  • 在支診・在支病の要件を見直し、訪問栄養食事指導の推進を図る。
  • 患者の状態に応じた評価を更に推進(包括的支援加算の対象患者の見直し)
  • 在支診・在支病院について、一人あたりの訪問診療の算定回数が多い医療機関における評価(在宅患者訪問診療料)を見直し。
  • 頻回訪問加算の要件及び評価の見直し、患者の状態に応じた評価を適切に推進。

訪問看護ステーションに関する改定項目

  • 訪問看護ステーションの管理者の責務明確化、要件を見直し。
  • 虐待防止措置に関する体制整備の義務化、身体的拘束等を原則禁止化。
  • 訪問看護管理療養費の要件・評価を見直し、多様化する利用者や地域のニーズへの対応力向上や質の高い効果的なケアの実施を促す。
  • 緊急時サービスが適切に提供されるよう、緊急訪問看護加算の要件及び評価と訪問看護療養費請求書等の記載内容の見直し。
  • 退院支援指導加算の要件見直し、退院日の利用者の状態や訪問看護の提供状況に応じた評価の充実。
  • ハイリスク妊産婦連携指導料の要件と乳幼児加算の評価体系の見直し。
  • 訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の記載事項及び様式の見直し。
  • 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入されることを 踏まえ、初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して、 計画的な管理を行い、質の高い医療を提供した場合の評価新設。
  • 医師が ICT を活用して死亡診断等を行う場合において、研修を受けた医療機関の看護師による医師の補助に対する、評価の新設。
  • 24時間対応体制加算の見直し(看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価体系に見直す。また、24 時間対応に関する連絡体制の取扱いを見直す。)

今後のスケジュール―改定後の算定要件等に関する詳細な議論は中医協・総会で継続

今回、原案が示された「議論の整理」の内容については、12日にもう一度話し合いが行われる予定です。その上で同日から開始されるパブリックコメントの募集を経て正式な文書となります。

その後、この「議論の整理」の内容に沿って、加算の算定要件など改定項目に関するより詳細な検討が中医協・総会で引き続き行われることになります。

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