政府が6月7日に示した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)原案には、介護サービスの提供に関する最新の方向性が明記されました。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が先んじて求めてきた人材紹介サービスへの規制について盛り込まれたほか、外国人材に関する制度の今後などについても記載があります。
2024年度に控える介護報酬改定を前に、方針が明らかになってきた項目やこれから具体的な検討が進められていく項目を整理します。
先述の通り、6月7日に骨太の方針案が示されました。
介護サービスの提供体制に関する基本的な方針としては、”医療との連携の更なる推進”、”人材の確保・育成”、”デジタル技術の著しい進展に対応した改革の早期実現”などが挙げられています。
そのほか介護保険サービスや利用者との関連が深い政策としては、以下のような記載があります。
社会保障審議会・介護保険部会などで先行して指摘されている内容やこれまでの施策を踏襲した記載が多いなか、”業務・経営の効率化や経営状況の見える化の推進”が、今後の賃上げや業務負担軽減を進める前提となるような書き方がされている点は注意すべきかもしれません。また、財政審が求めていた民間の人材紹介サービスへの規制についても明記されています。
このほか、障害福祉分野などの分野については
との方針が示されています。
さらに介護事業の運営にも多大な混乱をもたらしてきた新型コロナについても
ことなどが盛り込まれています。
なお、骨太の方針は、政権が重要としている課題や24年度予算編成の方向性を示すもので、6月中に正式にまとめられます。
この骨太方針の策定に先立ち、財政審も5月に意見書(建議)をまとめ、「全世代型社会保障の考え方に立って医療・介護などの歳出改革を断行する」ことなどを求めていました。一部の記載は骨太の方針案にも反映されています。
(【表】「歴史的転機における財政」(5月29日、財政制度等審議会)を基に編集部で作成)
介護老人保健施設の人員配置・報酬体系の見直しや、サ高住等でケアマネジメントを提供する事業者への同一建物減算の適用などの提案は、骨太の方針原案には記載がありません。しかし、今後、介護報酬改定の具体的な内容を検討していくうえでの論点になり得ると考えられます。
(*経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称、原案))
介護経営ドットコムの記事を制作・配信している編集部です。日々、介護事業所を経営する皆さんに役立つ情報を収集し、発信しています。