居宅介護支援の実地指導・監査対策のポイント 指摘事項・項目の事例②

2020.11.30
2020.11.30
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居宅介護支援を経営・管理している皆様は、実地指導・監査の準備はお済でしょうか?ここでは、全国各地の自治体が公表している実地指導の指導事例をまとめています。皆様の事業所の所在地やお近くの地域で、どのような指導事例があったのか、その内容を知って実地指導に向けた準備を進めましょう。今回は、兵庫県姫路市の指導事例をご紹介します。

目次
    居宅介護支援の運営基準減算の指導事例
      居宅介護支援の特定事業所加算の指導事例
        居宅介護支援の退院・退所加算の指導事例
          居宅介護支援の初回加算の指導事例
            最後に

              居宅介護支援の運営基準減算の指導事例

              ○一部の利用者について、居宅サービス計画の新規作成に係る「サービス担当者会議等」を行っていなかった。

              これは、「運営基準減算」の事由に該当する。「運営基準減算」の対象月は、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算となる。ついては、速やかに「サービス担当者会議等」を行い、当該状態を解消すること。また、解消されたことが分かるもの(サービス担当者会議の要点等)を提出すること。併せて、対象月については、過誤調整の手続きを行い、以下の書類を提出すること。

              ①返還金額がわかる一覧表

              ②過誤調整の手続き完了が確認できる書類(国保連からの決定書等)

              また、他の利用者についても、同様の事例及びその他の「運営基準減算」事由に該当の有無を確認し、その結果を報告すること。

              ○一部の利用者のモニタリングの記録が整理されていなかった。

              利用者の解決すべき課題の変化に留意し、適切なサービスを提供し続けるため、モニタリングの結果を適切に記録し、整理しておくこと。なお、モニタリングの記録をしていない場合、運営基準減算となることに留意すること。ついては、次のモニタリングの記録を提出すること。また、他の利用者についても、同様の事例の有無を確認し、その結果を報告すること。

              ○平成30年度介護保険制度改正に伴う、「契約時の説明」に関する項目について、利用者に対して文書を交付し説明していなかった。

              指定居宅介護支援事業者は、居宅介護支援の提供の開始に際し、あらかじめ利用者に対して次に示す項目について、文書を交付して説明を行い、理解を得なければならない。

              ①利用者は、複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること。

              ②利用者は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることができること。

              また、上記の「契約時の説明」については、平成30年度介護報酬改定により、「運営基準減算」に該当する。よって、対象利用者、対象期間について、過誤調整の手続きを行い、以下の書類を提出すること。

              ①返還金額がわかる一覧表

              ②過誤調整の手続き完了が確認できる書類(国保連からの決定書等)

              ○一部の利用者の居宅サービス計画の作成がされていなかった。

              これは、「運営基準違反」に該当する。居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、同意を得た上で、居宅サービス計画を利用者及び居宅サービス事業者等に交付しなければならない。ついては、「運営基準減算」に該当するため、<対象期間>について、過誤調整の手続きを行い、以下の書類を提出すること。また、他の利用者についても、同様の事例の有無を確認し、その結果を報告すること。

              ①返還金額がわかる一覧表

              ②過誤調整の手続き完了が確認できる書類(国保連からの決定書等)

              居宅介護支援の特定事業所加算の指導事例

              ○介護支援専門員ごとの個別具体的な研修計画が作成されていなかった。

              特定事業所加算の算定にあたっては、介護支援専門員について個別具体的な研修の目標、内容、研修期間、実施時期等について、次年度の計画を定めなければならないことに留意し、介護支援専門員の研修計画を作成すること。

              ○算定に必要な人員として配置されている次の従業者が、併設する通所介護事業所において送迎の業務に従事していた。

              特定事業所加算(Ⅲ)の算定には、常勤の主任介護支援専門員1名及び常勤専従の介護支援専門員2名の配置が必要であるので、介護支援専門員は居宅介護支援事業所以外の業務に従事しないこと。

              ○一部の利用者の居宅介護支援について、居宅サービス計画の未作成、サービス担当者会議の未開催による「運営基準減算」の該当があった。

              「運営基準減算」に該当した場合、「特定事業所加算」は算定できない。ついては、対象月について、過誤調整の手続きを行い、以下の書類を提出すること。

              ①返還金額がわかる一覧表

              ②過誤調整の手続き完了が確認できる書類(国保連からの決定書等)

              居宅介護支援の退院・退所加算の指導事例

              ○退院・退所加算(Ⅰ)ロ及び(Ⅱ)ロの要件である「診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表」の「退院時共同指導料2」の注3の要件を満たすカンファレンスが実施されていなかった。

              この場合は、それぞれ退院・退所加算(Ⅰ)イ又は(Ⅱ)イでの算定となる。よって、次に示す対象者について、過誤調整の手続きを行い、以下の書類を提出すること。

              ①過誤調整の手続き完了が確認できる書類(国保連からの決定書等)

              居宅介護支援の初回加算の指導事例

              ○「運営基準減算」に該当する場合は、算定できない。また、初回加算を重複して算定している者があった。

              よって、対象者の「初回加算」について、過誤調整の手続きを行い、以下の書類を提出すること。

              ①返還金額がわかる一覧表

              ②過誤調整の手続き完了が確認できる書類(国保連からの決定書等)

              最後に

              ご紹介した事例のように、介護報酬の過誤調整が必要になる場合は、指定された期間の記録を遡って確認することをはじめ、その後の介護報酬の取り下げや再請求に伴う事務負担、会社のキャッシュフローに対する負担など、事業所経営に大きな影響を受けることになります。

              ご紹介した事例が、皆様の事業所の自主点検のきっかけや、お役に立てば幸いです。

              最後までお読みいただきありがとうございました。

              出典元:「【介護保険】実地指導結果(平成30年度)」兵庫県姫路市 「【介護保険】実地指導結果(令和元年度:上半期)」兵庫県姫路市

              ※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年3月4日掲載のものです。

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