2021年度介護報酬改定では、ケアプランや重要事項説明などの利用者に対する説明や同意取得の方法に電子メールや電子署名などの”電磁的方法”の活用が認められました。
介護施設や事業所では実際にどの程度の活用が進んでいるのでしょうか。最新のデータが公表されたので紹介します。
調査概要・目的
このほど、厚生労働省の調査研究事業(令和4年度 老人保健事業推進費等補助金老人保健健康増進等事業)の結果が公表されました。
この調査は、実際の介護現場で利用者への説明・同意取得の際に、メールでのやりとりなどの”電磁的方法”がどの程度活用されているかを把握するとともに、活用が進まない理由などを探るためのものです。
(*参考:文書負担軽減や手続きの効率化等による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業 施設・事業所アンケート調査結果(速報)
回答者の内訳は以下の通りです。
| サービス種別 | 回答施設・事業所数 |
| 訪問介護 | 178 |
| 通所介護 | 206 |
| 地域密着型通所介護 | 216 |
| 介護老人福祉施設 | 137 |
| 介護老人保健施設 | 134 |
| 居宅介護支援 | 252 |
9割以上が説明・同意取得で「全て署名を取得」
利用者や家族に対する説明・同意取得の場面での負担軽減を図るために認められた”電磁的記録による対応”ですが、調査の結果、現場にはほぼ浸透していないといえます。
9割以上の施設・事業所で、書面による説明を従来通り実施し「すべて署名を取得」していたことが明らかになりました。
サービス種別ごとにみると、「全て署名を取得している」と回答した割合は訪問介護で95.5%、通所介護で95.6%、地域密着型通所介護で93.1%、介護老人福祉施設で97.8%、介護老人保健施設で98.5%、居宅介護支援で98.8%となっていました。
(【画像】文書負担軽減や手続きの効率化等による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業 施設・事業所アンケート調査結果(速報)より※赤枠、赤枠内の文字を編集部で追加)
電磁的方法を活用しない理由としては、以下が多く挙げられていました。
- 機器等がない
- 利用者が電子メール等を遣えない
- 電子署名等の導入にコストがかかる
- 利用者や家族に対応してもらうのが難しい
サービス種別ごとの結果と特徴を以下にまとめます。
訪問介護の説明・同意取得の電子的方法の活用状況
※「すべて署名を取得」95.5%
【画像】文書負担軽減や手続きの効率化等による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業 施設・事業所アンケート調査結果(速報)より(以下、同様)
「実地指導での指導が不安」(19.4%)、「事業所の従業員が電子メール等を使えない」(15.3%)が他のサービスよりも多く、「電磁的方法を利用できることを知らなかった」(4.7%)が他よりも少なくなっています。
通所介護の説明・同意取得の電子的方法の活用状況
※「すべて署名を取得」95.6%
他のサービスと概ね同様の傾向がありますが、「電磁的方法としてどの方法が適切か判断できない」(18.2%)、「事業所の従業員が電子メール等を使えない」(7.1%)が他よりも少ない特徴がみられました。
地域密着型通所介護の説明・同意取得の電子的方法の活用状況
※「すべて署名を取得」93.1%
回答全般として、他のサービス種別と同様に「機器等がない」、利用者や家族に「対応してもらうのが難しい」、「導入にコストがかかる」といった回答が多い結果となりました。
介護老人福祉施設・介護老人保健施設の説明・同意取得の電子的方法の活用状況
※「すべて署名を取得」は介護老人福祉施設で97.8%、介護老人保健施設で98.5%
他のサービスと比べ、利用者や家族への不安に関する回答が少ない傾向が見られました。また、介護老人保健施設では「機器等がない」の回答が、他のサービスより10ポイント以上少ない点も特徴です。
居宅介護支援事業所の説明・同意取得の電子的方法の活用状況
※「すべて署名を取得」98.8%
「機器等がない」(57.4%)、「電子署名等導入にコストがかかる」(45.8%)、「実地指導での指導が不安」(16.9%)が他のサービスより高く、「家族に対応してもらうのが難しい」(22.1%)、「事業所の職員が電子メール等を使えない」(6.0%)が少ない傾向となりました。