指定申請等の手続きをオンラインで行える「電子申請・届出システム」の運用が一部自治体でスタートしています。このシステムについては、遅くとも2025年度までに全自治体で導入するよう法令上の規定が行われる方針も示されているところです。システムのスムーズな浸透を進めるために、現在、自治体向けに活用の「手引き」が公表されています。
ここではこの手引きから、介護サービス事業者が把握しておくべきポイントを読み取り、お伝えします。なお、介護サービス施設・事業所向けの手引きは2022年度末を目途に公表される予定です。
※関連資料:介護サービス情報公表システムを活用した オンラインによる指定申請の手引き骨子 (自治体向け)
行政や介護現場の業務効率化の一環として、指定請求や報酬請求等に必要な文書周辺の負担軽減策がこの3年ほど集中的に検討されてきました。電子申請・届出システムもこうした検討の成果として導入されるものです。具体的には、既存の「介護サービス情報公表システム」にオンラインで指定申請や変更届などの手続きができる機能が拡張されます。
機能上、オンラインで実施できるようになるのは以下の申請・届出類です。ただし、その運用範囲や対象サービスの範囲は、それぞれの自治体が検討します。
【画像】 厚生労働省「介護事業所の指定申請等のウェブ⼊⼒・電⼦申請の導⼊、文書標準化」
システムを導入する目的には、地域ごとの様式の違いや独自ルールの是正もあります。これを促進するため、電子申請・届出システムの入力フォームは、厚労省の標準様式例に基づいて作られています。これに伴い、これからこのシステムを導入する予定の自治体では、独自の様式やそれを使った手続きが見直されることになります。条例や規則で指定申請書類などの届出の方法を書面提出と定めている場合は、その条例・規則も見直されます。
そのほかにも、提出書類の不備があれば自治体がコメントを入れて差し戻すことなどもできるようになるなど、行政・事業所双方の負担軽減が期待されるところです。
介護分野における電子申請・届出システムは、22年10月1日から先行自治体として一部自治体での運用がすでにスタートしています。
ただ、多くの自治体は23年10月以降に運用を始めるようです(以下参照)。
【画像】社保審・介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会(2022年10月27日開催)参考資料より
厚労省は、2025年度末までに全ての自治体で電子申請・届出システムの原則化する方針を既に示しており、介護事業者に対しても同様にこのシステムと標準様式を使った届け出を原則とするよう算定基準を示す告知や介護保険法の施行規則を定めた省令改正の準備を進めています。
※指定申請等文書の標準様式は下記ページより確認できます。 厚労省「指定申請等文書の標準化」
今回公表された「自治体向け」の手引きに目を通すと、今後は、各自治体から管内の介護事業所や施設に対して注意点やこれまでからの変更点、具体的な運用開始時期等が通知される見込みです。
例えば、
などがそれぞれの管轄自治体から案内されます。
先述の通り、添付書類(一部自治体で提出を必要としているもの)の削減も求められていることなどから、手続きの変更点などは今後の案内を確認しましょう。書類の添付方法を電子化で統一するか、原本の別途郵送が必要となるのか等も各自治体の判断となるため注意が必要です。
ここまで主に自治体の対応について取り上げてきましたが、電子申請・届出システムは24年度の制度改正・報酬改定に合わせて介護保険法の施行規則にも明記されます。つまり、介護サービス事業者にも、電子申請・届出システムによる届出が原則として求められます。指定申請だけでなく加算算定に関する届出なども対象となるため、業務フローの見直しに向けて準備しておく必要がありそうです。
【画像】社会保障審議会介護給付費分科会(2023年2月20日開催)資料より
電子申請の流れや操作方法などはすでに開示されているため、余裕を持って情報収集できるといいでしょう。
※関連資料: 厚生労働省「介護事業所の指定申請等のウェブ⼊⼒・電⼦申請の導⼊、文書標準化」
ただし実際のシステム運用開始やそれに伴う各種通達の時期は自治体によってバラつくため、見落としや対応漏れのないよう注視しておきましょう。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。