【短期入所生活介護(ショートステイ)】2024年度介護報酬改定│加算の創設・見直し要件など改定項目まとめ(令和6年度改定に関する審議報告)

2023.12.30
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社会保障審議会の介護給付費分科会は12月19日、2024年度介護報酬改定に向けた審議報告をとりまとめ、公表しました。
本記事では【短期入所生活介護(ショートステイ)】に関する改定事項を網羅してご紹介します。

令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(厚労省ホームページ)

長期利用の適正化(予防を含む)(報酬単位の見直し)

長期利用の適正化を図り、サービスの目的に応じた利用を促す観点から、施設入所と同等の利用形態となる場合、施設入所の報酬単位との均衡を図ることとなります。

看取り対応体制の強化(加算の新設)

レスパイト機能を果たしつつ、看護職員の体制確保や対応方針を定め、看取り期の利用者に対してサービス提供を行った場合に評価する新たな加算が設けられます。

ユニットケア施設管理者研修の努力義務化【短期入所生活介護、短期入所療養介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院共通】(予防を含む)

ユニットケアの質の向上の観点から、個室ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修の受講が努力義務となります。

「利用者の安全・介護サービスの質の確保・職員の負担軽減」を検討する委員会設置の義務付け【短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービス共通】(予防を含む)

現場における課題を抽出・分析した上で、事業所の状況に応じて、利用者の安全・介護サービスの質の確保・職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置が義務付けられます。その際、3年間の経過措置期間が設けられます。

介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進【短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービス共通】(予防を含む)

介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、以下の事項を満たす取組みを評価する新たな加算が設けられます。

  • 利用者の安全・介護サービスの質の確保・職員の負担軽減に資する方策を検討する委員会の開催や、必要な安全対策を講じている
  • 見守り機器等のテクノロジー(※1)を1つ以上導入している
  • 生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行う
  • 一定期間ごとに、業務改善の取組みによる効果を示すデータの提供を行う

上記の要件をすべて満たした上で、さらに以下の事項をすべて満たす取組みを評価する区分が設けられます。

  • 提出したデータにより業務改善の取組による成果が確認できる
  • 見守り機器等のテクノロジーを複数導入している(※2)
  • 職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っている

※1)見守り機器等のテクノロジーとは、以下のアからウに掲げる機器をいう。

ア)見守り機器

イ)インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器

ウ)介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)

※2)見守り機器等のテクノロジーを複数導入するとは、少なくともアからウまでに掲げる機器はすべて使用すること。

その際、アの機器はすべての居室に設置し、イの機器はすべての介護職員が使用すること。なお、アの機器の運用については、事前に利用者の意向を確認することとし、当該利用者の意向に応じ、機器の使用を停止する等の運用は認められるものであること。

ユニット間の勤務体制に係る取扱いの明確化【短期入所生活介護、短期入所療養介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護、 老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院】 (予防を含む)

ユニット型施設において、職員の主たる所属ユニットを明らかにした上で、必要に応じてユニット間の勤務が可能であることが明確化されます。

口腔管理に係る連携の強化【訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護共通】(予防を含む)

事業所と歯科専門職の連携のもと、

  • 介護職員による口腔衛生状態や口腔機能の評価実施
  • 利用者の同意のもと、歯科医療機関や介護支援専門員への情報提供の実施

これらの取組みを評価する新たな加算が設けられます。

介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化

介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件と加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化されます。

※経過措置期間:2024年度末まで

また、以下の見直しが実施されます。

ア)職種間の賃金配分について、引き続き介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとしつつ、職種に着目した配分ルールは設けず、一本化後の新加算全体について、事業所内で柔軟な配分を認める。

イ)新加算の配分方法について、 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、一番下の区分の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てることを要件とする。

それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合に、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することを求める。

ウ)職場環境等要件について、生産性向上や経営の協働化に係る項目を中心に、人材確保に向け、より効果的な要件とする観点で見直しを行う。

外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し【通所系サービス、短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービス、施設系サービス共通】

就労開始から6月未満のEPA介護福祉士候補者・技能実習生(以下「外国人介護職員」)について、現行では人員配置基準への算入が認められていません(日本語能力試験N1またはN2に合格した者を除く)。

就労開始から6月未満であってもケアの習熟度が一定に達している外国人介護職員がいる実態などを踏まえ、人員配置基準に係る取扱いについて見直しが行われます。

具体的には、事業者が以下の事項を踏まえて、人員配置基準に算入することについて意思決定を行った場合、「就労開始直後」から人員配置基準への算入が可能となります。

  • 外国人介護職員の日本語能力や指導の実施状況
  • 管理者や指導職員等の意見等

その際、適切な指導・支援を行い、安全体制を整備する観点から、下記の要件が設けられます。

ア)一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること。

イ)安全対策担当者の配置、指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制を整備していること。

併せて、人員配置基準への算入の有無にかかわらず、研修・実習のための指導職員の配置や、計画に基づく技能等の修得・学習への配慮など、法令等に基づき、受入れ施設において適切な指導・支援体制の確保が必要であることが改めて周知されます。

業務継続計画(BCP)未策定事業所に対する減算の導入

感染症・災害に対応するための業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算となります。その際、感染症の予防・まん延防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算は適用されません。

※経過措置期間:2025年3月31日まで

高齢者虐待防止の推進【全サービス(居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く) 】

虐待の発生や再発を防止するための措置(委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬が減算となります。

身体的拘束等の適正化の推進【訪問系、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅介護支援共通】

利用者や、他の利用者等を保護するために緊急・やむを得ない場合を除き、身体的拘束等が禁止されます。身体的拘束等を行う場合には、その態様や時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録することが義務付けられます。

テレワークの取扱い【全サービス(居宅療養管理指導を除く)共通】(予防を含む)

人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方を示すことが求められます。

※このほか、全てのサービスに共通する改定事項(短時間勤務制度を導入する場合の「常勤」配置の緩和、管理者の兼務範囲の明確化、重要事項等のウェブサイトでの公表)が加わります。

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