9月30日に開かれた社保審・介護給付費分科会において、現行の処遇改善加算・特定処遇改善加算の取得について議論されました。
現行では(Ⅰ)~(Ⅴ)まで5段階に区分されていますが、このうち取得率が1%未満である加算(Ⅳ)・(Ⅴ)については、2018年の介護報酬改定時にすでに廃止が決定しています。経過措置により算定可能な状態が続いているものの、委員からは完全廃止に対して賛成意見があがりました。
処遇改善加算の効果を調査した結果では、「職員の処遇に関する満足度が向上した」「介護職員の平均在職年数が長くなった・定着率が上がった」などの意見が多く聞かれています。
各事業所の取り組みに関しても、処遇改善加算の取得にあたって約3~4割の法人が処遇関連の取り組みを強化したという結果が報告されました。
その一方で、介護職員の処遇改善が加算中心に考えられている点に関して「加算の種類が増えると小規模な事業所ほど、加算届の作成などが負担になってしまう。処遇改善は加算ではなく、基本報酬の見直しを中心に行っていくべきでは」と水町参考人(神奈川県福祉子どもみらい局)は意見を述べました。
経験・技能のある職員を中心に介護職員の更なる処遇改善を図ることを目的とした特定処遇改善加算の算定要件は下記の3つです。2020年度から、取り組みの見える化が追加されています。
算定率90%以上の処遇改善加算と比べ、2020年3月時点の特定処遇改善加算の算定率は59.4%。徐々に算定率は上がってきているものの、やや低調となりました。
この結果に関して厚労省は、算定していない理由など含め調査しており、2020年秋ごろを目安に結果を公表する予定です。
処遇改善加算・特定処遇改善加算の届出においては、全国老人福祉施設協議会の小泉立志氏から「算定要件が複雑であり担当の事務負担も大きい。更なる簡素化と、自治体によって扱う手続きや解釈の標準化を推進するべき」との指摘が上がりました。
引用:第186回社保審・介護給付費分科会「令和3年度介護報酬改定に向けて(介護人材の確保・介護現場の革新)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月2日掲載のものです。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。