2024年度の介護報酬改定では、居宅介護支援の「ターミナルケアマネジメント加算」および「特定事業所医療介護連携加算」の算定要件が見直されています。
これまで、ターミナルケアマネジメント加算の対象は「末期の悪性腫瘍の患者」に限定されていましたが、この枠組みが廃止されます。また、新たに人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握する点が要件に追加となっています。
関連して、「特定事業所医療介護連携加算」の算定要件についても、ターミナルケアマネジメント加算の算定回数が見直されているため注意が必要です。
なお、いずれも単位数の変更はありません。こちらのページでは、2024年3月までの加算と24年4月からの改定後の加算について比較しております。
ターミナルケアマネジメント加算とは、ターミナル期の介護サービス利用者に対して、必要な居宅サービスが円滑に利用できるように調整等を行うことを評価する加算です。
24年度の介護報酬改定では、自宅で最期を迎えたいと考えている利用者の意向を尊重する観点から、これまで末期の悪性腫瘍に限定されていた対象疾患を拡大しし、「医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者」とされています。
①加算の対象者を「末期の悪性腫瘍の患者」に限定する要件の削除。②医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者を対象とする。 ③人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを算定要件に追加。④単位数は改定前後で変更なし。
ターミナルケアマネジメント加算:400単位/回(改定前から変更なし)
医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断し、在宅で死亡した利用者であること
ターミナルケアマネジメントを受けることについて、利用者またはその家族から同意を得ていること
利用者またはその家族の終末期の医療やケアの方針に関する意向を把握していること
死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上、利用者の居宅を訪問し、利用者の心身の状況等を記録し、主治医及び居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者に連絡調整すること
※以下に示す留意点について24年度改定以前との変更点はありません。
死亡した利用者に対して算定するため、算定は1回に限る。
利用者の居宅を最後に訪問した月と利用者の死亡月が異なる場合は、死亡月に算定する。
1人の利用者に対して、1ヵ所の居宅介護支援事業所がターミナルケアマネジメント加算を算定できる。算定要件を満たす居宅介護支援事業所が複数ある場合には、死亡日または死亡日に最も近い日に利用した居宅サービスを位置付けたケアプランを作成した事業所が加算を算定する。
在宅で死亡した利用者が対象だが、死亡診断を目的として医療機関へ搬送され、24時間以内に死亡が確認される場合等は、ターミナルケアマネジメント加算を算定できる。
特定事業所医療介護連携加算とは、医療・介護連携に総合的に取り組んでいる居宅介護支援事業所を評価する加算です。
今改定におけるターミナルケアマネジメント加算の見直しに伴い、特定事業所医療介護連携加算の算定要件であるターミナルケアマネジメント加算の算定回数が拡大されます。
①算定要件である「ターミナルケアマネジメント加算」の算定回数が「5回以上」から「15回以上」へ見直し。
②単位数は改定前後で変更なし。
125単位/月(改定前から変更なし)
以下の要件をすべて満たす場合、特定事業所医療介護連携加算が算定可能。
前々年度の3月から前年度の2月までの間において、退院・退所加算の算定に係る病院等との連携の回数(情報の提供を受けた回数)の合計が35回以上
前々年度の3月から前年度の2月までの間において、ターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定
特定事業所加算(I)~(III)のいずれかを算定していること
加算の対象となる事業所は、日頃から医療機関等との連携に関する取組みをより積極的に行う事業所であることが求められる。
退院・退所加算の算定に係る要件については、加算の算定回数ではなく、その算定に係る病院等との連携回数が該当する。
特定事業所医療介護連携加算は、質の高いケアマネジメントを提供する体制のある事業所が医療・介護連携に総合的に取り組んでいる場合に評価を行う加算であるため、他の要件を満たす場合であっても、特定事業所加算(I)~(III)のいずれかを算定していない月は算定不可。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。