厚生労働省は3月26日に社会保障審議会・介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会を開き、「令和元年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」の結果概要を公表しました。この調査は、2018年度報酬改定の影響を調査するもの。訪問看護サービス・看護小規模多機能型居宅介護サービスの加算取得状況などを確認しておきましょう。
今回の調査で、看護体制強化加算の算定要件を満たせる事業所が少なく、算定率が低い状況にあることが明らかになりました。
●看護体制強化加算Ⅰ
訪問看護ステーション…2.3%
病院・診療所の訪問看護…4.4%
看護小規模多機能型居宅介護…12.7%
●看護体制強化加算Ⅱ
訪問看護ステーション…3.9%
病院・診療所の訪問看護…4.8%
看護小規模多機能型居宅介護…18.6%
※看護体制強化加算の算定要件
①算定日が属する月の前6ヵ月において、実利用者数の総数のうち、緊急時訪問看護加算を算定した実利用者数の割合が50%以上であること
②算定日が属する月の前6ヵ月において、実利用者数の総数のうち、特別管理加算を算定した実利用者数の割合が30%以上であること
③ターミナル加算の算定
加算Ⅰ…算定日が属する月の前12ヵ月において5名以上のターミナルケア加算を算定すること
加算Ⅱ…算定日が属する月の前12ヵ月において1名以上のターミナルケア加算を算定すること
算定できない理由として、主に下記の回答がありました。
●訪問看護ステーション
・特別管理加算の対象となる利用者が少ない…30.2%
・ターミナルケア加算の算定要件を満たせない…18.9%
・毎月届出を変更したくない…16.4%
・ターミナル期で在宅看取り希望の利用者・家族が少ない…16%
・緊急時訪問看護加算の算定対象となる利用者が少ない…13.4%
●病院・診療所の訪問看護
・緊急時訪問看護加算の算定対象となる利用者が少ない…28.2%
・特別管理加算の対象となる利用者が少ない…24.8%
・ターミナルケア加算の算定要件を満たせない…20.5%
・ターミナル期で在宅看取り希望の利用者・家族が少ない…17.5%
・毎月届出を変更したくない…12.4%
ターミナルケアに関連して、看取りを行った利用者の死亡場所についての調査結果も示されました。訪問看護ステーションと病院・診療所の訪問看護では自宅が最も多かった一方で、看護小規模多機能型居宅介護は事業所で看取りを行うケースが最も多くなりました。
看護小規模多機能型居宅介護の利用者の、死亡場所の意向としては、事業所内が37.2%、事業所内か自宅のどちらかが16.7%で、看護小規模多機能型居宅介護が看取りの場として利用者から選ばれていることが伺える結果となりました。
今回の調査は、2020年に実施予定の介護事業経営実態調査の結果とともに、21年度改定に向けた基礎資料となります。検討の動向をチェックしておきましょう。
画像:訪問看護サービス及び看護小規模多機能型居宅介護サービスの提供の在り方に関する調査研究を参考に作成
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年4月1日掲載のものです。
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