1月18日に第199回社保審・介護給付費分科会が開催され、2021年度介護報酬改定の単位数など、改定案の内容が明らかになりました。【介護老人福祉施設】の介護報酬改定について、単位数や算定要件の詳細を一覧でお知らせします。
要介護1:現行 559単位 ⇒ 改定後 573単位
要介護2:現行 627単位 ⇒ 改定後 641単位
要介護3:現行 697単位 ⇒ 改定後 712単位
要介護4:現行 765単位 ⇒ 改定後 780単位
要介護5:現行 832単位 ⇒ 改定後 847単位
要介護1:現行 638単位 ⇒ 改定後 652単位
要介護2:現行 705単位 ⇒ 改定後 720単位
要介護3:現行 778単位 ⇒ 改定後 793単位
要介護4:現行 846単位 ⇒ 改定後 862単位
要介護5:現行 913単位 ⇒ 改定後 929単位
要介護1:現行 567単位 ⇒ 改定後 582単位
要介護2:現行 636単位 ⇒ 改定後 651単位
要介護3:現行 706単位 ⇒ 改定後 722単位
要介護4:現行 776単位 ⇒ 改定後 792単位
要介護5:現行 843単位 ⇒ 改定後 860単位
要介護1:現行 646単位 ⇒ 改定後 661単位
要介護2:現行 714単位 ⇒ 改定後 730単位
要介護3:現行 787単位 ⇒ 改定後 803単位
要介護4:現行 857単位 ⇒ 改定後 874単位
要介護5:現行 925単位 ⇒ 改定後 942単位
※単位数はすべて1日あたり
新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、全てのサービスについて、2021年4月~9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せとなります。
介護に関わる職員の認知症対応力を向上させていく観点から、老人福祉施設では人員配置要件について、一部改正されます。
・算定要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(※1)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(※2)を加算の配置要件の対象に加える。
※1:認知症ケアに関する専門研修・認知症専門ケア加算(Ⅰ)…認知症介護実践リーダー研修・認知症専門ケア加算(Ⅱ)…認知症介護指導者養成研修
※2:専門性の高い看護師・認知症看護認定看護師・老人看護専門看護師・精神看護専門看護師・精神科認定看護師
中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算の算定要件の見直しと、現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応への新たな評価区分が設けられます。
死亡以前31日~45日以下…72単位/日(新設)
・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと
・看取りに関する協議の場の参加者として、生活相談員を明記する
・施設サービス計画の作成にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること
ICTの活用等により、外部のリハ専門職等が事業所を訪問せずに、利用者の状態を把握・助言する場合の評価区分が新設されます。現行通り、外部のリハ専門職等が事業所を訪問する場合は、「生活機能向上連携加算(Ⅱ)」(200単位/月)が適用されます。単位数の変更はありません。
生活機能向上連携加算(Ⅰ)…100単位/月(新設)
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所またはリハビリテーションを実施している医療提供施設(病院にあっては、許可病床数200床未満のもの又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しないものに限る)の理学療法士等や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、助言を受けた上で、機能訓練指導員等が生活機能の向上を目的とした個別機能訓練計画を作成等すること
・ 理学療法士等や医師は、通所リハビリテーション等のサービス提供の場またはICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うこと
・加算ⅠとⅡの併算定は不可
・加算Ⅰは3月に1回の算定が限度
より利用者の自立支援等に資する個別機能訓練の提供を促進する観点から、新たな評価区分が新設されます。
個別機能訓練加算(Ⅰ):12単位/日(個別機能訓練加算から名称変更のみ)
個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月(新設)
・個別機能訓練加算Ⅰを算定している入所者について、個別機能訓練計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、機能訓練の実施に当たって当該情報その他機能訓練の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用すること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・加算Ⅰ・Ⅱは併算定可能
口腔衛生管理の強化のため、「口腔衛生管理体制加算」が廃止され、算定要件を一部緩和したうえで、基本サービスとして取り組みが求められます。また、「口腔衛生管理加算」に新たな評価区分が新設されます。
口腔衛生管理体制加算:30単位/月 ⇒ <改定後>廃止。基本サービスへ
口腔衛生管理加算:90単位/月 ⇒ <改正後>口腔衛生管理加算(Ⅰ)に名称変更
口腔衛生管理加算(Ⅱ):110単位/月(新設)
入所者の口腔の健康の保持を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行わなければならない(3年の経過措置期間を設ける)。※「計画的に」とは、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が介護職員に対する口腔衛生に係る技術的助言及び指導を年2回以上実施することとする
・加算Ⅰの要件に加え、口腔衛生等の管理に係る計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、口腔衛生等の管理の実施に当たって、当該情報その他口腔衛生等の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
・歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔ケアを月2回以上行い、当該入所者に係る口腔ケアについて介護職員に対し、具体的な技術的助言及び指導を行った場合
栄養ケア・マネジメントの取り組みを一層強化する観点から、現行の栄養マネジメント加算が廃止され、基本サービスとして、状態に応じた栄養管理の計画的な実施が求められます。その際、現行の栄養士に加えて管理栄養士の配置が位置づけられます。
また、低栄養リスク改善加算が廃止され、入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や体制強化等を評価する「栄養マネジメント強化加算」が新たに創設されます。
栄養マネジメント加算:14単位/日⇒<改定後>・廃止。基本サービスへ・栄養ケア・マネジメントの未実施:14単位/日減算(新設)・栄養マネジメント強化加算:11単位/日(新設)
低栄養リスク改善加算:300単位/月 ⇒ <改定後>廃止
経口維持加算:400単位/月 ⇒ <改定後>一部要件のみ変更
・入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うこと(3年間の経過措置を設ける)
・栄養士または「管理栄養士」を1以上配置する
・管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること
・低栄養状態のリスクが高い入所者に対して、医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上行い、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事の調整等を実施すること
・低栄養状態のリスクが低い入所者にも、食事の際に変化を把握し、問題がある場合は、早期に対応すること
・入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
原則6月とする算定期間の要件を廃止する
LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用により、PDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みを推進する観点から、「科学的介護推進体制加算」が新設されます。
科学的介護推進体制加算(Ⅰ)…40単位/月(新設)
科学的介護推進体制加算(Ⅱ)…50単位/月(新設)
・入所者・利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること
・科学的介護推進体制加算(Ⅱ)では、加えて疾病の状況の情報を厚生労働省に提出していること
・サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること
介護老人福祉施設が「ADL維持等加算」の対象サービスとして追加されます。
<現行>ADL維持等加算(Ⅰ):3単位/月 ⇒<改定後>30単位/月
<現行>ADL維持等加算(Ⅱ):6単位/月 ⇒<改定後>60単位/月
①利用者(当該事業所の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること
②利用者全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
③利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除して得た値に、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じて一定の値を加えたADL利得(調整済ADL利得)の上位及び下位それぞれ1割の者を除く評価対象利用者のADL利得を平均して得た値が、1以上であること
・加算Ⅰの①と②の要件を満たすこと
・評価対象利用者のADL利得を平均して得た値(加算Ⅰの③と同様に算出した値)が2以上であること
加算Ⅰ・Ⅱの併算定はできません。
利用者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、廃用や寝たきりの防止等の観点から、「自立支援促進加算」が新設されます。
自立支援促進加算…300単位/月(新設)
①医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも6月に1回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること
②①の医学的評価の結果、特に自立支援のために対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること
③①の医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること
④①の医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
褥瘡マネジメント加算について、状態改善等のアウトカム指標を評価するため区分が見直されます。
<現行>褥瘡マネジメント加算:10単位/月⇒<改定後>褥瘡マネジメント加算(Ⅰ):3単位/月(新設)褥瘡マネジメント加算(Ⅱ):13単位/月(新設)
①入所者等ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時等に評価するとともに、少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
②①の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等ごとに、医師、看護師、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員等が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していること
③入所者等ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者等の状態について定期的に記録していること
④①の評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等について、褥瘡の発生のないこと。
・加算ⅠとⅡの併算定は不可。現行の加算を算定する事業所に経過措置を設定
・3月に1回を限度としていた点が見直され、毎月の算定が可能となる
排せつ支援加算について、状態改善等のアウトカム指標を評価するため区分が見直されます。
<現行>排せつ支援加算:100単位/月⇒<改定後>排せつ支援加算(Ⅰ):10単位/月(新設)排せつ支援加算(Ⅱ):15単位/月(新設)排せつ支援加算(Ⅲ):20単位/月(新設)
①排せつに介護を要する入所者等ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師又は医師と連携した看護師が施設入所時等に評価するとともに、少なくとも6月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、排せつ支援に当たって当該情報等を活用していること(LIFEへのデータ提出とフィードバックの活用)
②①の評価の結果、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師、看護師、介護支援専門員等が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、当該支援計画に基づく支援を継続して実施していること
③①の評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに支援計画を見直していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、または、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
加算Ⅰの要件に加えて、施設入所時等の評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について、施設入所時等と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善していること
・加算Ⅰ~Ⅲの併算定は不可。現行の加算を算定する事業所に経過措置を設定
・6月を限度としていた点が見直され、6月を超えて算定が可能となる
サービスの質の向上や職員のキャリアアップを推進する観点から、新たな評価区分の新設と区分の統合が行われます。
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)…22単位/日(新設)
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)…18単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)…6単位/回
・加算Ⅰは、介護福祉士が80%以上、または、勤続10年以上の介護福祉士が35%以上のいずれかに該当すること
・加算Ⅱは、介護福祉士が60%以上であること
・加算Ⅲは、介護福祉士が50%以上、または、常勤職員が75%以上、または、勤続7年以上の職員が30%以上、のいずれかに該当すること
テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点から、見守り機器等を導入した場合の「夜勤職員配置加算」の人員配置要件について、以下の2点の見直しが行われます。単位数の変更はありません。
①現行の0.9人配置要件の見守り機器の導入割合の要件を緩和
<現行>15% ⇒ <改定後>10%
②新たに0.6人配置要件を新設
②については、見守り機器やICT導入後、上記の要件を少なくとも3か月以上試行し、現場職員の意見が適切に反映できるよう、夜勤職員をはじめ実際にケア等を行う多職種の職員が参画する委員会において、安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上で届け出ることが求められます。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。