11月5日に開かれた第191回社保審・介護給付費分科会にて、定員80人以下の特別養護老人ホームに対する規模別報酬設定の是非が議題となりました。この提案に対し多くの専門家が反対意見を述べています。また、特養に関連した「褥瘡マネジメント加算」「排せつ支援加算」に関する論点と方向性もあわせて解説していきます。
厚労省が2020年に募集した地方分権改革提案において、特別養護老人ホームの基本報酬を定員規模別(30人、31~50人、51~80人)で設定する提案がなされました。この背景として、特に定員80人以下の施設における収支差率が低く、安定的な施設の運営に苦慮している現状が挙げられます。
厚労省は、安定的経営を図る観点から「介護経営の大規模化・協働化」を掲げている政策目標に逆行するインセンティブとなることを危惧したうえで、この提案についての検討を議題にあげました。これに対し、複数の委員が大規模化へ逆行する点を理由に、反対の意を表する意見を述べ、賛成意見はありませんでした。
本審議会では「褥瘡マネジメント加算」「排せつ支援加算」についても論点となり、要件の見直しなどが検討されました。現行の課題点として、褥瘡マネジメント加算は3か月に1回、排せつ支援加算は6か月間と限定された要件のもとで施行されています。いずれについても、継続的な取組みを評価する観点から、毎月継続した算定を可能とする方向案が提示されました。
また、両加算のアウトカム評価については、統一的に評価可能な定義・指標を用いることや、CHASEを活用した科学的介護の推進を検討する方向性も示されています。
引用:第191回社保審・介護給付費分科会「地域包括ケアシステムの推進(検討の方向性)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年11月10日掲載のものです。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。