医療と介護の連携推進強化が一つの目的である2024年4月の介護報酬改定では、介護保険施設の協力医療機関に関する規定が強化されます。この改定に関連して、医療機関側の協力を促すため、診療報酬でのインセンティブを付与する方向で検討が進んでいます。
現在大詰めを迎えている診療報酬改定への検討状況についてお伝えします。
2024年度の介護報酬改定では、協力医療機関との連携を強化するために3年間の経過措置付きで介護保険施設に下記の対応が義務付けられる予定です。
(【画像】「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」を基に編集部で作成)
また、介護保険施設だけでなく上記の規定が努力義務として設けられる認知症対応型共同生活介護(グループホーム)も加え、入所者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価する新たな加算も創設されます(特定施設入居者生活介護等は「医療機関連携加算」の要件が見直されます)。
しかし、高齢者施設と協力医療機関側の連携強化を確かなものにするためには、医療機関側にも協力を促す必要があります。特に医療機関の機能分化が進められている現在は、医療機関であればどこでもいいのではなく、在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院、地域包括ケア病棟など、高齢者施設との連携に適した医療機関との連携を推進する必要があります。
そこで、診療報酬改定(2024年から6月実施となることが決定済み)ついての検討を進めている中央社会保険医療協議会・総会(12月20日)で、厚生労働省の医療課長は、以下の対応策を提案しました。
※協力医療機関と介護保険施設が同一法人・関連法人である等の特別の関係にある場合は除く。
このほかに
を評価するかどうかについても意見を求めています。
まず、施設入所者の病歴などの情報を日頃から情報共有していくことや、急変時の対応について、ICTも活用しながら、連携を深めておくことを報酬で評価するという方向性について、医師を代表する委員がおおむね歓迎しています。
しかし、支払い側の立場として松本真人委員(健保連理事)は、診療報酬で評価する場合の条件として、「定期的なカンファレンスやICTの活用によって、介護保険施設の高齢者の情報を協力医療機関の医師が常に確認していることを最低限の条件」とすることを求めました。
また、同一法人や関連法人内での対応については評価対象から除外するかどうかについても意見が分かれています。
このほか、医師を代表する委員からは「いたずらに会議の数を増やしても、実効性を損ねてしまう可能性がある」(長島公之委員・日本医師会常任理事)との懸念も示されました。
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