2021年度の介護報酬改定では、介護老人福祉施設(以下、特養)の日常生活継続支援加算について、人員配置要件が緩和されます。2021年3月までの現行の加算と、2021年4月からの改定後の加算を比較して、変更点を確認しておきましょう。
特養において、重度のご利用者の入所を積極的に受け入れ、より質の高い介護福祉サービスを提供し、個々の利用者を尊重しながら生活を支援することを評価する加算です。
2021年度の介護報酬改定では、テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点から、見守り機器やインカム等複数のテクノロジー機器を活用する場合における人員配置要件が緩和されます。
①介護福祉士の配置要件が、現行の「6:1」から「7:1」へ緩和
②テクノロジーを搭載した機器を複数導入していること、および、安全体制を確保していることが要件
③単位数は変更なし
・従来型:日常生活継続支援加算(Ⅰ)36単位/日
・ユニット型:日常生活継続支援加算(Ⅱ)46単位/日
・新規入所者(※1)のうち、要介護4、5の認定を受けている入所者が70%以上であること
・新規入所者(※1)のうち認知症日常生活自立度Ⅲ(※2)以上の入所者が65%以上であること
・医師の指示に基づいた喀痰吸引や経管栄養を行う必要がある入所者が15%以上であること
・介護福祉士が常勤換算で利用者6人に対して1人以上であること
・通所介護等の算定方法第12号の基準に該当しないこと
※1:算定日の6か月~12か月前の新規入所者の数※2:日常生活に支障をきたす症状または行動が見られ、意思疎通が困難な者
・介護福祉士が常勤換算で利用者6人に対して1人以上であること。ただし、介護機器等テクノロジーを活用する場合は利用者7人に対して1人以上であること
・業務の効率化、質の向上、職員の負担軽減に資する機器(以下「介護機器等」)を複数種類使用していること
・介護機器等の使用に当たり、介護職員、看護職員、ケアマネジャー、その他の職種の者が共同して、アセスメント(入所者の心身の状況を勘案し、自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することをいう)と入所者の身体の状況等の評価を行い、職員の配置の状況等の見直しを行っていること
・介護機器等を活用する際の安全体制、ケアの質の確保、職員の負担軽減に関する以下①~④の事項を実施し、かつ、介護機器等を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、介護職員、看護職員、ケアマネジャー、その他の職種の者と共同して、当該委員会において必要な検討等を行い、当該事項の実施を定期的に確認すること
①入所者の安全およびケアの質の確保
②職員の負担の軽減および勤務状況への配慮
③介護機器等の定期的な点検
④介護機器等を安全かつ有効に活用するための職員研修
見守り機器やICT等導入後、上記の要件を少なくとも3か月以上試行し、現場職員の意見が適切に反映できるよう、職員をはじめ実際にケア等を行う多職種の職員が参画する委員会において、安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上で届け出ること。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。