介護報酬の体系や算定基準の見直しなどについて審議する社会保障審議会・介護給付費分科会では、ICTや”介護補助職員”の活用を前提に、介護付有料老人ホームなど特定施設の人員配置基準の柔軟化に向けた検討が始まります。 社会保障費の抑制を図ったり、政府の経済政策を進めたりするための提案に端を発し、物議を醸しているテーマです。
厚生労働省はこうした提案や要望などを受け、介護現場で”生産性向上”の効果を測定する実証実験を行います。2021年度介護報酬改定での介護老人福祉施設等における夜間の人員配置基準配置の緩和に続き、24年度改定でも基準緩和やテクノロジーの活用を推進するかどうか、またその切り口や基準を検討する上でのデータ収集を行います。
介護現場の生産性向上は、社会保障費の抑制と人材不足への対応の必要性から課題として扱われ続けています。
介護給付費分科会が21年度介護報酬改定の前にまとめた審議報告でも、「今後の課題」として、テクノロジーの活用を前提に、人員基準の緩和等について、実証データの収集に努めながら、「更なる介護現場の生産性向上の方策について、検討していくべき」と明記されていました。
【画像】令和3年度介護報酬改定に関する審議報告の抜粋:7月5日介護給付費分科会(持ち回り開催)の資料より
テクノロジーの活用による人員基準の緩和については、22年度に入ってからも指摘や要望が相次いでいます。
まず、社会保障費の抑制を強く主張する立場である財政制度等審議会・財政制度分科会は、この4月にも「より少ない労働力でサービスが提供できるよう、配置基準の緩和等も行いながら、業務のICT化等による業務効率化を進めていく必要」があると主張していました。
さらに、政府の経済政策をすすめるため、産業界などの要望をもとに各業界の規制や制度の見直しを図る「規制改革推進会議」が、5月にまとめた答申でも介護分野の規制改革やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速が、重点領域の一つとして扱われています。
この中で、同会議は「特定施設(介護付き有料老人ホーム)等における人員配置基準の特例的な柔軟化」を期限付きで「講ずるべき措置」として取り上げています。
具体的に厚労省に対応を求めている内容は以下の通りです。
この内容は6月に「規制改革実施計画」として閣議決定された政府の方針となりました。
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