認知症介護基礎研修の義務化 無資格者の範囲や外国人職員への対応など整理

2021.05.12
2021.05.17
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2021年度の介護報酬改定では、認知症への対応力を向上させていくため、介護に直接携わるすべての無資格者について、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。対象となる職員の詳細や、研修内容、受講料、eラーニング化の状況などについて、まとめて確認しておきましょう。

目次
    認知症介護基礎研修、無資格者の受講義務化
      認知症介護基礎研修とは
        認知症介護基礎研修の義務化、経過措置期間は?
        義務化の対象外(免除)となる資格・ケース
        認知症介護基礎研修の内容・受講料など
        外国人介護職員への認知症介護基礎研修の義務付け

        認知症介護基礎研修、無資格者の受講義務化

        超高齢社会の深刻化に伴い、介護現場における認知症患者への対応力向上は、サービスの質の底上げや利用者本人の尊厳の保持に関わる重要な課題です。こうした課題に対する施策の一環として、2021年度の介護報酬改定では、介護に携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない無資格者について、認知症介護基礎研修の受講が義務化されます。

        無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護以外)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く、全サービスが受講義務化の対象となります。

        認知症介護基礎研修とは

        認知症の人への介護に求められる基本的な理解や対応方法を習得するための研修です。研修にかかる時間は、講義3時間+演習3時間で計6時間です。各都道府県ごとに開催されており、講義の3時間はeラーニング化している自治体もあります。

        また、受講料が無料の自治体もあれば、テキスト代や受講費で1人1000円~5000円程度かかる自治体もあります。

        認知症介護基礎研修の義務化、経過措置期間は?

        2021年~2023年までの3年間は経過措置期間とされ、研修の受講に対する取組みは努力義務として位置づけられます。2024年度より、研修受講が完全に義務化される方針です。

        新入職員への対応・猶予期間

        新規採用・中途採用を問わず、事業所が新たに採用した職員については、採用後1年間の猶予期間が設けられます。事業者は当該職員を採用後、1年以内に研修を受講させることが求められます。

        義務化の対象外(免除)となる資格・ケース

        認知症介護基礎研修の受講が義務化される対象は、医療・福祉関係の資格を有さない無資格者です。よって、各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識及び技術を習得している者は義務化の対象外となります。

        義務化の対象外となる資格

        看護師、准看護師、介護福祉士、ケアマネジャー、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師

        義務化の対象外となるケース

        ・養成施設で認知症に係る科目を受講した者(卒業証明書及び履修科目証明書により、事業所及び自治体が認知症に係る科目を受講していることが確認できることが条件)

        ・福祉系高校で認知症に係る科目を受講した者(認知症に係る教育内容が必修となっているため、卒業証明書により単に卒業が証明できれば対象外となる)

        ・認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の認知症の介護等に係る研修を修了した者

        ・人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者

        対象外にならない注意すべきケース

        ・認知症サポーター等養成講座の修了者については、講座の目的・内容が認知症介護基礎研修とは異なるため、義務化の対象外にはなりません。

        ・外国人介護職員において、従業員の員数として算定される従業者であって、直接介護に携わる可能性がある者については、在留資格にかかわらず義務づけの対象となります。(EPA介護福祉士、在留資格「介護」等の医療・福祉関係の有資格者を除く)

        認知症介護基礎研修の内容・受講料など

        所要時間・難易度

        研修時間は、講義3時間と演習3時間で計6時間です。1日で研修を修了でき、試験等の実施もないため、難易度は高くありません。

        研修内容

        講義3時間(認知症の人の理解と対応の基本)
        ・認知症の人を取り巻く現状
        ・認知症の人を理解するために必要な基礎的知識
        ・具体的なケアを提供する時の判断基準となる考え方
        ・認知症ケアの基礎的技術に関する知識

        演習3時間(認知症ケアの実践上の留意点)
        ・認知症の人との基本的なコミュニケーションの方法
        ・不適切なケアの理解と回避方法
        ・病態・症状等を理解したケアの選択
        ・行動・心理症状(BPSD)を理解したケアの選択と工夫
        ・自事業所の状況や自身のこれまでのケアの振り返り

        受講方法・eラーニング

        各自治体ごとに集合型研修を定期開催しています。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、開催延期や定員数の制限等の対応をしているケースもあり、各自治体への確認が必要です。

        講義(3時間)についてはすでにeラーニング化している自治体もあります。2021年度の介護報酬改定で、無資格者について認知症介護基礎研修の受講が義務化されたことから、集合型1日または、eラーニング半日+集合型半日で実施されていた研修を、全eラーニング化する検討が行われています。国の検討状況に応じて、各都道府県が対応していく流れです。

        受講の義務化には、2023年までの経過期間があるので、eラーニング化の状況を確認しつつ、受講時期を決めると良いでしょう。

        受講料

        研修を実施する自治体ごとに、受講料にばらつきがあります。「無料」「受講料無料+テキスト代実費(1,000円程度)」、「受講料3,000~5,000円程度(テキスト代込み)」など。詳細は各自治体のホームページ等でご確認ください。

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