厚生労働省は7月27日、社会保障審議会 介護保険部会をオンラインで開催。都道府県や市町村が策定する介護保険事業(支援)計画に向けた国の基本指針について、概ね了承を得ました。今回新たに、感染症・災害対策が基本指針に盛り込まれています。詳しい内容を確認しておきましょう。
今回の介護保険部会で、介護保険事業(支援)計画を策定する際のガイドラインとなる、基本指針が概ね固まりました。厚生労働省は近々、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を開催し、自治体に周知します。それを受け、都道府県・市町村が計画を策定し、2021年度から第8期計画がスタートします。
第8期計画のポイントとして、下記の7項目があります。今回、7つ目として新たに感染症・災害対策が追加されました。
①2025・2040年を見据えたサービス基盤、人的基盤の整備
②地域共生社会の実現
③介護予防・健康づくり施策の充実・推進(地域支援事業等の効果的な実施)
④有料老人ホームとサービス付き高齢者住宅に係る都道府県・市町村間の情報連携の強化
⑤認知症施策推進大綱を踏まえた認知症施策の推進
⑥地域包括ケアシステムを支える介護人材確保及び業務効率化の取組の強化
⑦災害や感染症対策に係る体制整備
委員の意見が多く集まったのは、介護人材の確保と業務効率化についてです。基本指針には、人材確保のための協議会を設置し重点的に取り組むこと、介護職に限らず介護分野で働く人材の確保・育成に取り組むこと、負担軽減のためのICT導入について数値的な目標を設定して取り組むこと、などが記載されています。
「人材確保のためには処遇改善が効果的だが、特定処遇改善加算の算定率はいまだ低い状況。加算の取得など制度の活用を促して処遇を改善し、介護人材確保を進めてほしい」などの意見がありました。
基本指針に初めて、感染症や災害時の対策について記載されました。下記のような内容が追加されています。
・介護事業所等と連携し、防災や感染症対策についての周知啓発、研修、訓練を実施すること
・食料、飲料水、感染防護具、消毒液など必要な物資について、備蓄、調達、輸送体制をあらかじめ整備すること
・都道府県と市町村が連携し、災害、感染症発生時の支援、応援体制を構築すること
・平時からICTを活用した会議など業務のオンライン化を推進すること
2018年度から進められている介護医療院への移行について、現行の第7期計画期間では、市町村や都道府県が指定を拒否できる「総量規制」の対象ではありません。
今回の介護保険部会で、2021年度~2023年度の第8期計画期間でも、総量規制の対象外とする方針が示され、特段の反対意見はなく、了承されました。介護医療院の全国的な移行を引き続き促進していきます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、各地の災害発生状況から、介護事業所や施設と市町村、都道府県の連携はますます重要になっています。2021年度に向けて介護保険事業(支援)計画の策定が進み、議会報告は来年2月の予定です。引き続き動向をチェックしておきましょう。
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年7月29日掲載のものです。
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