2021年度の介護報酬改定では、ADL維持等加算について、単位数の変更や区分の新設があります。2021年3月までの現行の加算と、2021年4月からの改定後の加算を比較して、変更点を確認しておきましょう。
利用者のADLの維持または向上を評価する加算です。「ストラクチャー」、「プロセス」、「アウトカム」の3つの評価のうち、「アウトカム」を評価した加算になります。
対象サービス:通所介護、地域密着型通所介護(2021年4月より介護老人福祉施設などが対象サービスとして追加される)
2021年度の介護報酬改定にて、自立支援・重度化防止に向けた取組を一層推進する観点から、一部算定要件の緩和等の見直しが実施されるとともに、単位数がアップします。
①単位数アップ
「ADL維持等加算(Ⅰ)」3単位/月 ⇒ 30単位/月
「ADL維持等加算(Ⅱ)」6単位/月 ⇒ 60単位/月
②算定要件の緩和・廃止
・5時間以上が5時間未満の算定回数を上回る利用者の総数を20名以上とする要件について、利用時間の要件を廃止。利用者の総数の要件を10名以上に緩和
・評価対象期間の最初の月における要介護度3~5の利用者が15%以上、初回の要介護認定月から起算して12月以内の者が15%以下とする要件を廃止
③ADL利得の評価や結果報告に係る算定要件の変更
④対象サービスの拡大
認知症対応型通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が対象サービスとして追加される。
ADL維持等加算(Ⅰ):3単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ):6単位/月
・評価対象利用期間に5時間以上の利用回数が5時間未満の利用回数を上回る利用者の総数が20名以上であること
・評価対象利用期間の初月において、要介護度3~5の利用者が、利用者の総数に対して15%以上であること
・評価対象利用期間の初月において、初回の要介護・要支援認定があった日から起算して12か月以内の利用者が15%以下であること
・評価対象利用期間の初月と6か月目において、事業所の機能訓練指導員がBarthel Index(バーセルインデックス)にてADL値を測定し、その結果を厚生労働省に提出している利用者が90%以上であること
・評価対象利用期間の6か月目におけるADL値から、評価対象利用期間の初月におけるADL値を控除した値が多い順の上位85%について、ADL利得が「ADL利得が0より大きければ1」「ADL利得が0より小さければ-1」「ADL利得が0ならば0」として区分し、合計した数が0以上であること
※評価対象利用期間とは…利用者が評価対象期間(算定年度の前々年度の1月から12月までの1年間)に連続して6月以上利用した期間
・ADL維持等加算(Ⅰ)算定要件を全て満たしていること
・算定日の属する月にADL値を測定し、厚生労働省に提出していること
ADL維持等加算(Ⅰ):30単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ):60単位/月
①利用者(当該事業所の評価対象利用期間が6月を超える者)の総数が10人以上であること
②利用者等全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6月目(6月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Index(バーセルインデックス)を適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
③利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除し、初月のADL値や要介護認定の状況等に応じた値を加えて得た値(調整済ADL利得)について、利用者等から調整済ADL利得の上位及び下位それぞれ1割の者を除いた者を評価対象利用者等とし、評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が1以上であること
・ADL維持等加算(Ⅰ)算定要件①②の基準を満たしていること
・評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が2以上であること
・加算Ⅰ・Ⅱの併算定は不可
・現行の加算を算定する事業所には、経過措置が設定される予定
・リハビリテーションサービスを併用している者については、加算取得事業者がリハビリテーションサービスの提供事業者と連携して機能訓練を実施している場合に限り、調整済ADL利得の計算の対象に
・介護老人福祉施設、特定施設入居者生活介護、において利用者の調整済ADL利得を算出する場合は、さらに一定の値を付加する
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。