10月9日に開かれた社保審・介護給付費分科会にて、2021年度介護報酬改定に向けた各サービス種別の論点と方向性が議論されました。定期巡回・随時対応型訪問介護看護と、夜間対応型訪問介護の議論では、人員配置要件の明確化や、夜間対応型訪問介護の基本報酬の見直しが主な論点となっています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員配置要件については、指定権者(市区町村)によって独自のルールがあり、要件にばらつきがあることが課題となっています。それに対して、小規模多機能型居宅介護(以下、小多機)を参考に明確化する案が出されています。具体的には、管理者の兼務と、夜間オペレーターの待機場所について議論されました。
小多機では、介護支援専門員の計画作成責任者が管理者を兼務することは可能であると規定がありますが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、明確に規定されていません。本分科会にて、管理者との兼務が可能であると明確化する方針が示されました。
また、夜間・早朝(18~8時)のオペ―レーターと随時訪問サービス対応の訪問介護員の待機場所についても、小多機に合わせて、「必ずしも事業所内で宿直する必要はない」との議論が進んでいます。
これらの2つの方針について、夜間対応型訪問介護も小多機と同様にする案が示されました。夜間対応型訪問介護については、現状、オペレーターの兼務や事業所間連携ができないため、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様に可能とする案も出されています。委員からは概ね賛成意見が集まりました。
夜間対応型訪問介護の基本報酬は、下記の2種類があります。
(Ⅰ):「定額(オペレーションサービス)+出来高(訪問サービス)」
(Ⅱ):「包括報酬」
163事業所を対象にした調査によると約90%に及ぶ150事業所が(Ⅰ)を算定しています。そのうち19事業所が定額(オペレーションサービス)分のみ算定していて、利用者別では、全体の約7割の利用者が、月に一度も訪問サービスを受けていないという結果が提示されました。
この調査結果から、事業所の経営状態を踏まえた上で、出来高(訪問サービス)部分に重点を置いたメリハリのある報酬体系にしてはどうかという方針が示され、議論が進みました。
多くの委員より、基本報酬の見直しについて概ね賛同する意見が寄せられましたが、サービス全体として利用者が少ない現状から、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など別のサービスと統合していいのではという意見もありました。
本分科会で提示された検討の方向性を軸に、最終決定へ向けた議論が進みます。
引用:第187回社保審・介護給付費分科会「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護の報酬・基準について(検討の方向性)」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年10月13日掲載のものです。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。