技術の進展やメーカーの要望などを受け、介護保険の対象となる福祉用具の範囲が近年拡大しています。これに関連して厚生労働省は前年度末から、メーカーなどによる申請手順について運用の一部変更を検討しています。
介護保険の給付対象となる福祉用具や住宅改修の種目・種類の追加、拡充などの要望は、現在、厚労省が公開している様式によって受け付けられています(「福祉用具に関する提案」。)
*関連リンク:厚労省「介護保険対象福祉用具・住宅改修に対する要望について」(厚労省ウェブサイト)
こうした要望は、「介護保険制度における福祉用具の範囲の考え方」(下記画像の内容)に沿うものであることを原則とするほか、【有効性に関するデータ】や【安全性に関するデータ】の提出などが必要です。
(【画像(上)】:「介護保険制度における福祉用具の範囲の考え方」(厚生労働省) 【画像(下)】:2021年度以降の開発企業等からの要望に対する評価スケジュール(介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会に関する資料より抜粋))
しかし、近年の申請内容を見るとデータが不十分であったり、「要介護者が居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるため」のものであるという前提が十分に伝わっていないものもありました。そこで厚労省は前年度末、今後の申請について以下の2つの取り組みを進めることを提案しました。
1.申請の際に、有効性のエビデンス内容やその取得方法などを取りまとめた手引き(現在作成中)の通読を依頼する旨を明記する
2.介護保険による福祉用具の給付制度の趣旨を提案者にも理解してもらうため、以下に当てはまる場合は、厚労省と座長が個別に協議を実施し、各構成員の了承を得たうえで評価の対象外とすることを厚労省ホームページに明記する
厚労省の提案内容は、まだ決定事項ではありません。専門家からの意見等を踏まえ引き続き検討が進められる見通しです。
介護保険の対象とするか否かを評価する立場からも、有効性の高い「在宅」での実証データを確保することの難しさに理解を示す意見が出ています。新しい技術や製品を要介護者らが使いやすくするにするにあたり、データ不足を理由に提案を排除するのではなく、施設等であっても在宅での利用を想定した形でデータを取得するなど、一定考慮すべきといった視点が考慮されることになりそうです。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。