2024年度の介護報酬改定によって、訪問リハビリテーションの基本報酬は、訪問リハビリテーション費は1単位の微増となる一方、介護予防の基本報酬は引き下げられます。(※リンク先:厚生労働省特設サイト「令和6年度介護報酬改定について」)。
新設加算には、事業所の理学療法士等が医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行うことを評価する「退院時共同指導加算」など、3種類の加算があります(※介護予防訪問リハは2種類)。
なお、2024年度介護報酬改定の実施日はサービスによって分かれており、訪問リハビリテーションの改定実施時期は6月1日です。
【訪問リハビリテーション】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較
2024年度介護報酬改定では、訪問リハビリテーションの基本報酬の体系が見直され、訪問リハビリテーション費は1単位引き上げられるのに対し、介護予防訪問リハビリテーション費は9単位引き下げられます。
改定前後の基本報酬を比較すると以下の通りになります。
【訪問リハビリテーション】2024年度介護報酬改定前後の基本報酬比較
| 基本部分 | 単位数
(現行) |
単位数
(改正後) |
増減 |
| 訪問リハビリテーション費 | 307単位 | 308単位 | +1単位 |
| 介護予防訪問リハビリテーション費 | 307単位 | 298単位 | -9単位 |
(【表】:「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第86号)」を元に作成)
介護報酬改定後の算定構造については、以下の資料をご参照ください。
*「介護報酬の算定構造(R6.6.1) 」(第239回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料)
【訪問リハビリテーション】3種類の新設加算
24年度改定で訪問リハビリテーション及び介護予防訪問リハビリテーションに新設される加算は、以下の3種類です。
- 退院時共同指導加算
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(介護予防は対象外)
- 口腔連携強化加算
具体的な単位数や要件を以下に概説します。
①退院時共同指導加算【訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション】
医療機関からの退院後に介護保険のリハビリテーションを行う際、リハビリテーション事業所(訪問・通所)の理学療法士等が、医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行ったことを評価する加算です。
| 加算名 | 単位数 |
| 退院時共同指導加算
(新設) |
600単位/回 |
退院時共同指導加算(訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション)の算定要件
病院または診療所に入院中の者が退院するに当たり、訪問リハビリテーション事業所の医師または理学療法士、作業療法士あるいは言語聴覚士が、退院前カンファレンスに参加し 、退院時共同指導(病院や診療所の主治の医師、PT、OT、STその他の従業者との間で退院患者に関する情報を相互に共有した上で、患者またはその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、訪問リハビリテーション計画に反映させること)を行った後に、初回の指定訪問リハビリテーションを行った場合に、 退院につき1回に限り、所定単位数を加算する。
②認知症短期集中リハビリテーション実施加算【訪問リハビリテーション】
認知症の方に対して、認知機能や生活環境等を踏まえ、応用的動作能力や社会適応能力を最大限に活かしながら、生活機能を改善するためのリハビリテーションを実施する取組みを評価する加算です。
| 加算名 | 単位数 |
| 認知症短期集中リハビリテーション実施加算
(新設) |
240単位/日 |
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(訪問リハビリテーション)の算定要件
次の要件を満たす場合、1週に2日を限度として加算する。
- 認知症であると医師が判断した者
- リハビリテーションによって生活機能の改善が見込まれると判断された者
- 医師または医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士が、その退院(所)日または訪問開始日から3カ月以内に、リハビリテーションを集中的に行う
③口腔連携強化加算 【訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション】
利用者の口腔状態を確認して、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげるための情報提供を評価する加算です。
| 加算名 | 単位数 |
| 口腔連携強化加算
(新設) |
50単位/回 |
※1月に1回に限り算定可
口腔連携強化加算の算定要件等
- 事業所の従業者が、口腔の健康状態の評価を実施し、利用者の同意を得て、歯科医療機関と介護支援専門員に評価の結果を情報提供する。
- 訪問リハビリテーション事業所は利用者の口腔の健康状態に係る評価を行うに当たって、診療報酬の歯科点数表区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定の実績がある歯科医療機関の歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、事業所の従業者からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること。
既存の加算の見直しなどを含む訪問リハビリテーションの改定事項は17項目
ここまでに示した加算の新設や見直し等を含めると、訪問リハビリテーションの改定事項は17項目あります。
このうち訪問リハビリテーション特有の改正事項には
- 人員配置基準を見直し、介護老人保健施設や介護医療院についても、訪問リハビリテーション事業所のみなし指定を可能とすること
- 運営基準を見直し、医師等の従業者に対し、退院患者を受け入れ、リハビリテーション計画を作成するに当たって、入院していた医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手してリハビリテーションの情報を新たに把握することを義務付ける
などがあります。