厚生労働省は3月16日に、社会保障審議会 介護給付費分科会を開催しました。2021年度の介護報酬改定に向けて、スケジュールと主な論点案が提示されているので、チェックしておきましょう。
社会保障審議会 介護給付費分科会での議論のスケジュール案が提示されました。年内に取りまとめまで進む予定です。
●2020年3月~
・事業者団体ヒアリング
・主な論点について議論
●2020年秋頃
具体的な方向性の議論
●2020年12月
基本的な考え方の整理・取りまとめ
●2021年1月~
諮問・答申
2018年度の介護報酬改定時の審議で今後の課題となった項目や、昨年12月末に介護保険部会でまとめられた「介護保険制度の見直しに関する意見」、「認知症施策推進大綱」等を踏まえて、以下のテーマについて議論するという案が示されました。
●地域包括ケアシステムの推進
●自立支援・重度化防止の推進
●介護人材の確保・介護現場の革新
●制度の安定性・持続可能性の確保
●ケアマネジャーの処遇改善
「介護保険制度の見直しに関する意見」では、適切なケアマネジメントを実現するために、ケアマネジャーの処遇の改善等を行い、質の高いケアマネジャーを安定的に確保していくことが必要だと明記しています。
背景には、地域ごとの福祉ニーズの多様化・複雑化があります。高齢者が地域とつながりを保ち、生活を維持していくためには、医療・介護だけでなく、インフォーマルサービスも含めたケアプランの作成等、ケアマネジャーの適切なサポートが必要になります。地域の福祉を支える存在として、ケアマネジャーの活躍が期待されています。
●介護人材の確保
「介護保険制度の見直しに関する意見」では、新規人材の確保・離職防止の双方の観点から総合的な人材確保策を推進していくことが必要として、介護職員のさらなる処遇改善の実施について触れています。
介護人材の処遇改善については、2017年4月に月給1万円相当の賃金アップを目指してプラス1.14%改定、2019年10月にスタートした「介護職員等特定処遇改善加算」ではプラス1.67%改定となっています。
2020年4月には「介護職員等特定処遇改善加算」の臨時調査を行い、届出状況や介護職員の給与への影響などを調査する予定です。この結果も踏まえて、検討が進むと思われます。
●地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメント
地域包括支援センターは、高齢化の進行によるニーズの増加に対応しつつ「介護予防ケアマネジメント業務」「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「包括的・継続的マネジメント支援業務」を担っています。この機能や体制を強化するために、介護予防ケアマネジメントの外部委託しやすい環境整備が必要だと考えられ、介護報酬の改定も視野に入れた検討がされています。
その他、厚労省は分野横断的なテーマについて議論していくとしています。論点については、議論が進行する中で変更することも想定されています。
介護施設・事業所の経営に直結する報酬改定について、介護給付費分科会での議論が進みます。今後の議論に注目しておきましょう。
引用:第176回社保審介護給付費分科会「介護報酬改定に向けたスケジュール(案)について」より
※本記事は「介護マスト」から移行しており、記事は2020年3月16日掲載のものです。
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