2021年度介護報酬改定では、現場の業務負担軽減などを目的として、請求関連書類や計画表、個別のケア記録等の書類の電子化(電子的保存)が認められました。
直近の調査結果によると、利用者への説明や同意取得が必要な書類を電子保存に切り替えるハードルはまだ高いようですが、ケア記録などの電子化は進んでいるようです。特に介護施設では3割を超え、通所介護や訪問介護事業所でも5分の1の事業所が電子保存化していました。
主なサービスの状況について、実態を紹介します。
今回紹介するのは、厚生労働省の「文書負担軽減や手続きの効率化等による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業」(令和4年度 老人保健事業推進費等補助金老人保健健康増進等事業)の結果です。
訪問介護(回答数178事業所)、通所介護(同206事業所)、地域密着型通所介護(同216事業所)、介護老人保健施設(同134事業所)、介護老人福祉施設(同137事業所)、居宅介護支援(同252事業所)の各サービス事業所からアンケートを回収し、
主に
を調べています。
結論として、なんらかの文書を電子データのみで保存している施設や事業所は、16年時点ではごく少数派でしたが、22年時点では文書の種類によって大幅に増加しているものもあります。
例えば通所介護では、「個別のケア記録」は18.9ポイント増加の22.8%、「介護給付費明細書」は14.6ポイント増の20.9%と、5分の1の事業所で電子データのみの保存が行われています。訪問介護でも同様に、「個別のケア記録」を電子データのみで保存している事業所が20.8ポイント増えるなど、電子化が一定進んでいるようです。
一方で、利用者や家族への説明・同意に関わる文書は、電子のみでの保存はほとんど採用されていません。具体的には以下のような文書が該当します。
これらの書類が「電子のみで保存」されている割合はほとんどのサービスで1%前後で、最多だった通所介護の「計画書」でも4.4%でした。
サービス種別ごとの傾向を以下にまとめます。
理学療法士として回復期病院、リハ特化デイ施設長、訪問リハを経験後フリーライターとして独立。医療福祉、在宅起業、取材記事が得意。正確かつ丁寧な情報を発信します。